ダーウィンの進化論は学会で公式に否定された?》進化論だけでなくケインズの需要・供給の法則でもこういう話を聞いたことがあるのだが、もちろんそんなの嘘に決まっている。
私はこういうデマが飛び交う理由というのは、科学というもの、ひいては進歩主義に対する誤解というものが大きく関係しているのではないかとみている。物理学にしろ経済学にしろ科学というのは過去の否定の上に成り立っているわけだが、この否定には大きく二種類のものがある。ひとつは「全否定」、もうひとつは「部分否定」である。全否定の方はそのままなので言う必要はないだろうが、ようするに正しくないということが間違っていると同義になるということである。一般的に否定というとこちらの方を思い浮かべるわけだが、哲学と科学が同義であった時代ならともかく近代以降の科学においては「部分否定」の連続である。例えば、ニュートン力学アインシュタイン相対性理論により否定されたわけだが、それは全否定されたわけではなく部分的に間違っていた、あるいは「ニュートン力学相対性理論の部分集合」であったということである。その相対性理論量子論との齟齬があり、将来的に何らかの修正を余儀なくされるであろうといわれている。
ダーウィンの進化論でも同じことで確かにダーウィンが当初唱えた古典的な進化論は、例えばキリンの中間段階の生物が見つからないなど様々な問題がありその修正を余儀なくされたが、生物が突然変異などによりいろいろな形に変化しながら現在に至ったという基本的な概念自体が否定されたわけではない。むしろ、これが主流の立場である。ケインズの需要・供給の法則に至っては近代経済学の最も根幹となる理論であり、これが否定されてしまうとマルクス経済学以外に経済学が存在しないことになってしまう。
象牙の塔に引きこもったえらい人の理論を否定できた俺はえらいんだと思っているのかどうかは知らないが、学問は人類が現段階において最も確実であると認識している知見の集大成である。野口旭が言うように否定すべき根拠が十二分に存在しない限り「正統的=教科書的なディシプリンを最大限まで保持そして擁護すべき」なのだ。



とえらそうなことを言いながらも、進化論の現状はあんまりよく知らないので上記説明には間違いがあるかもしれないのでそこんとこよろしく。とりあえず、スラッシュドットで紹介されていた分子進化の中立説について詳しい解説があったので紹介しておこう。