北野武監督作品「座頭市」を観にいく。面白いかどうかと聞かれたら面白いと答えてよいと思う(もちろん、これにカンヌを与えてしまう審査員の気持ちは理解できないが)。見る前までは、あんまり期待していなかったのだが、この映画は紛れもなく座頭市であるし、カタルシスもある。宣伝などを見ると既存の時代劇ではない異色作といったようなイメージを出していたが、見てみるとさほどでもなくむしろ馴染んでいるといってよい。こんな普通に座頭市をやってていいのだろうかとさえ思う。
とはいえ、ベタボメするような出来でもない。女装姿が女に見えないとか貧乏な農家が何でそんな簡単に家を再建できるんだとかシナリオ上のムリが多い。また、最後のオチを二回も繰り返してしまう脚本や最後の言葉は冗長に過ぎるだろう。たけし映画特有の素人くささが匂う演出も相変わらず。まあ、ビデオでなら見ても損しないレベルだとは思うが。