樋口真嗣監督作品「ローレライ」を観る

忘れないうちに感想をば(ネタばれはなし)。

あの樋口真嗣がまともな映画を撮る以上、絶対に観ねばならぬ……と意気込んでみたはいいけれど、なんというか中途半端な映画になってしまったなぁという印象。

まるで、かわぐちかいじ漫画から出てきたような役所広司の絹見館長とか、黒崎君ばりの石黒賢とか、どう見ても佐渡先生の小野武彦とかキャストも演技もその配置も抜群に良いのだけれど、演出にメリハリがないせいか何とはなく物語が進行してしまいまったく冴えない。似たような面子の『突入せよ!「あさま山荘事件」』と比較するとその印象の希薄さが歴然とするわけだけれど、じゃあ何が悪かったのかと言われるとよくわからない。

原作は未読なのだが、ストーリーはそのままなのだろうか。人が死ぬことによってのみストーリーが進行するところといい、結局お幸せに〜となってしまう甘々な展開といい、ものすごーくライトノベル感が漂っていて非常に鬱だ。小説だと許せるのかもしれないが、映像化してしまうと陳腐で気恥ずかしくなってしまうのかもしれない。

パウラの服も場違いで異様に浮いているんだが、これはデザインの出渕責任ということで(^_^;

CGに関してもそこらの映画に比べると遥かに水準が高いのだが、ロード・オブ・ザ・リングが常にCGだけを使わず模型を組み合わせていたことからもわかるように、CGだけの映像が持つ違和感は払拭できていない。せっかく樋口真嗣がやるんだから、ミニチュア使って頑張ってほしかったなぁ……という気持ちはある(まぁ、予算の制約上しょうがない部分もあろうが)

あとはどうでもいいことだが、朝倉大佐役の人が映画「姑獲鳥の夏」京極堂役なんですな。ちょっとイメージが違うなぁ。もっと腹黒い陰険そうな人じゃないと……ってどんな奴やねん。