日光参り

さかのぼること本日。……ってぜんぜんさかのぼってないわけでございますが、日光に紅葉を見にいきつつ東照宮にお参りに行こうという計画で本日ぶらり一人旅と相成ったわけでございます。

日光といいますと群馬県栃木県でございますから、東京から行くと結構大変かと思いきや北千住から東武線が出ておりまして特急だと1時間ちょっと、快速でも2時間程度で着いてしまうということで実のところ非常に近いのでありますな。

ところで、この日光に行く途中に「今市」という駅がありまして、今市市というのは結構大きな都市ではあるのですが駅につきますってえと「いまいち〜。いまいち〜」などという掛け声が聞こえて来るのでありまして、何がいまいちなのかと首をひねりたくなります。とはいえ、これはまだ良い方でありまして、今市の駅の前後には二つの駅があるのですが、それぞれ「上今市」と「下今市」というのですな。「かみいまいち〜」などと言われた日には、せっかくパリッと決めたヘアスタイルに文句が付けられたようで、落ち着かない気分になります。「しもいまいち〜」に至っては、隣の座席のおじさんがバイアグラを呑み始めるといった次第で……

閑話休題日光東照宮には鳴竜というものがございます。鳴竜というのは天井に書かれた竜の絵なのでございますが、パンと手をたたくとそれに呼応するように鳴くという仕掛けになっておりまして、なかなか面白いものでございます。


熊:おい、八さん
八:なんだい、熊さん
熊:見てみろや。『拍子木で音を出すので、決して手は叩かないでください』だとよ
八:ふーん。なんだろな。手を叩くのじゃ調子が悪いのかいな。手のパシンという音じゃあ鳴き声が小さくしか出ないのかもしれねえなぁ
熊:まぁ、たしかにそりゃそうだ。鳴くといっても相手は竜だ。やっぱり吠えるような音じゃないとしまりが無えってもんだ

そんなこんなを言ってるうちに、寺院の使用人が拍子木をもって参りました。

使用人:この拍子木。叩きますると竜の鳴き声が聞こえて参りまする。とくとお聞きを。それ、カーン

そうしますと、少し遅れてカーンという反響音が響きます

八:熊さん、聞いたかい。竜が鳴いたぞ。こりゃ不思議だ
熊:なるほどパシンじゃだめなわけだ。さすがの竜、見事にカンで鳴いた

お後がよろしいようで。