アジャイルで開発すると分納できるので安全

最近のはやりなのだが、話半分に聞くべきだと思う。

分納できるというのは、分納できる程度の規模のアプリケーションだということだ。基幹系のシステムだとそうはいかない。なぜか。

まず、プラットフォームの問題。基幹系の開発だと経営者のニーズとしてホストの維持費用が高いのでオープン系への移行を考えるような案件が多い。そのような場合には、ホストをごっそり無くしてオープン系のシステムに移行しなければならない。並存できると安全でいいのだが、移行期間にはホストとオープン系の二重管理となり運用コストが二倍になってしまう。

次に、システム間の依存性の問題がある。ホストは長い年月の蓄積の結果としてリプレース時には柔軟性が無くなっている場合が多く、両システム間を繋ぐのも難しい(新システムの方が柔軟でより細かい情報を管理できるようになっているため、ホストと繋ぐことで新システムのメリットも減ってしまう)。また、基幹系の業務システムはそれぞれのシステムが相互に情報をやり取りしておりマスタも共用しているため、一部だけ新システムに移行するのは不可能に近い。経営から新システムにて細かいメッシュによる分析を望まれたとしても、旧システムがボトルネックになる。

そして、なにより問題なのが要件定義だ。前述の通り、基幹系のシステムは業務よりのアプリケーションであっても会計システムなどのバックオフィスと密接に連携している。しかし、業務よりの社員といくら要件定義を進めても、そのような要件など出でくるわけはない。おおむね、バックオフィス側では細かい情報管理を求めており、業務側は簡潔な作業を求める傾向があるため両者の思惑は一致しておらず、業務よりのシステムだけが先行することで問題が発生することがある。基幹系システムの開発では、まずはきちんと会社の上層から下層まで要件を踏まえることが必要だ。