どこかで聞いたような話

大竹先生がお勧めしていたので「エンドレス・ワーカーズ―働きすぎ日本人の実像」を読み始めたのだが、その中で紹介されている事例がまるでどこかで聞いたような話で笑った*1

昨今の建設会社の経営は厳しい。工期が短くなり、受注単価は下がる傾向にある中、耐震偽装問題なども影響して、求められる質を確保するために手間がかかるようになった。公共工事では工期や金額は相対的にゆとりが持てる。少なくとも月に六〜八日くらいの休日を確保するという条件で入札に参加できる。ところが近年、公共工事はめっきり減ってしまっていた。だから比較的良好な労働条件を確保できるような仕事はなかなか取れない。そのため、仕事の多くは大手ディベロッパーから受注する建物となるが、そのほとんどは、工期が短く、単価も安く、かつ計画の途中変更が多い。そもそも金額や工期はギリギリの条件で受注しているから、何かトラブルが起これば、それは現場監督であるBさんの働き方にまともに影響する。

また、計画の途中変更というやつもやっかいだ。設計の段階でほとんどすべてのことが決まっているのに、ディベロッパーのお偉いさんが突然現場に来て、「この壁を取り払おう」などといわれる。壁を取り払えば、耐震精度も落ちるから、どこかで補強しなければならない。構造計算などという最初の作業をやり直す。客のわがままそのものがトラブルの原因だ。

*1:まだ読み終わっていないので本自体の感想は後日