予算を固定化するという方法論

私は経済学的には国の予算の問題は、歳入と歳出の結果おこる分配の問題だと考えてきたのだが、「ナッジ」を読んで多少考えが変わりつつある。

もし、予算の使い方を自由にした結果、国民が多くの問題に対し議論の目を向けなければならず、議論が拡散してしまうのであれば、世界的に見てどの国でもそれほど規模が変わらないであったり、日本の歴史的に見て一定の水準に収まっているのであれば、そのような予算は固定化し政治的議論から切り離してしまうのもひとつの手なのではないか。

例えば、権丈先生の「医療政策は選挙で変える」には、医療費は常にGDPと連動してきたことが示される。世間では老人が増えるから医療費も増えるに違いないという議論がなされるが、実際には無い袖は振れないため、医療費が巨額になる前に政策が変更され、結果的に一定額に収まることになる。

すなわち、政策的に判断しなければならないことは、日本はGDPのうち何割を医療費に当てるべきかということであり、その他のことは本来議論が必要な問題ではない。

であるならば、法律もそのように決めてしまえばよい。例えば、法律には総医療費はGDPに連動させること、またGDPに対する水準は年に一度政策として決定すること、とするのである。このようにしておけば、先進国水準より著しく低い水準に設定は難しく与党は適切な水準に擦りよって行くであろうし、その一方で景気悪化時に医療費だけが膨れ上がりその他の予算を圧迫することもなくなり、政策課題としては中立的な存在になるだろう。

医療費に対し本当にこのような方法を取るべきかは実証の問題であり、ここで結論を出すような話ではない。しかしながら、様々な政策課題に対し不必要な自由を捨てることで、より良い政策の集合を選択できるようになる、ということはありそうな話ではある。

実践 行動経済学

実践 行動経済学

社民党に投票したくなってきた

福島瑞穂消費者・少子化担当相(社民党党首)は17日午前のTBS番組で、鳩山政権の政策に必要な財源確保の方法について「所得税法人税最高税率を11年前に戻せば4兆2千億円捻出(ねんしゅつ)できる」と述べ、所得税法人税最高税率引き上げを政府税制調査会で検討すべきだとの考えを示した。同時に「低所得者に高負担になるので社民党は消費税という形はとらない」と消費税増税には反対する立場を強調した。

経済、株価、ビジネス、政治のニュース:日経電子版

つい先日まで社民党なんて亡びてしまえばいいのに! と、思っていたのだが、福島瑞穂意外にまとも。法人税はともかく、所得税最高税率は65〜70%まで上げるというのが正しい方向性だと思う。