ブライアン・グリーン著 林一、林大訳「エレガントな宇宙」読了。相対論以降概要をつかむことすら困難になった物理学の概観を記した良い本である。ベストセラーにふさわしい本ではある(一般ピープルには難しすぎる気もするが)。
とはいえ、本の前半だけ読むと「物理学を専攻すればよかった」と思うが、後半だけ読むと「物理学を専攻しなくてよかった」と思う本のようにも思える(前半は相対論と量子論、後半は超ひも理論について書かれている)。この本を読む限り、超ひも理論とはこういうものであるようだ。

  • すべては粒子ではなく「ひも」から構成される(輪の方が適切だと思うが、ほどけることもあるらしい)
  • 素粒子は振動パターンに違いがあるだけの「ひも」である
  • 大統一理論である
  • 宇宙は11次元(時間を含む)であり、4次元を除き小さく巻き上げられているので認識できない
  • プランク長より小さくなることと、プランク長より大きくなることは区別が出来ない(そのため、プランク長より小さくなることは考える必要がない)
  • 今のところ理論的な産物だが、ここ十年で他の理論が失敗したこと、今まで説明できなかった現象の説明がうまく出来るという点で今最も有望な枠組み
  • あと十年くらいで予言が実証されるかも

まあ、最初のほうはいいとして宇宙は11次元って何よ。巻き上げられてる次元って何よ。小さくなることと大きくなることが区別できないってどういう事?と理解を超える内容が結構多い。確かにエレガントだと思えるところも多いけど、11次元ってエレガントなのかなぁ。
あと気になったのが、実際にどのように役に立ちそうなのかが何も書かれていなかったこと。工学屋には重要です。大昔、科学技術と一括りにされていたけど、ここ最近、少し乖離が出てきたような気がするんだよね。量子力学半導体の理解には必須だけどひも理論はどういう風に使われるのか、興味あり。