すでに数日経っているが柳家小さんが死んだ。といっても別に小さんに思い出があるわけではない。落語は大好きだが、今に至るまで結局落語世界の深みにはまる機会は訪れていない。最近はテレビでもあまり放送してないし、本で読む落語は好きになれない(話を知ってしまった分、見たときの楽しみが減ってしまう)。レンタルビデオショップにも置いていることも少ないから、見るためには高い料金を払って独演会に行かねばならない。

そういえば、葬式で例によって森繁久弥が出てきて「わしより先に死んでしまった。いい人を亡くした」等の発言をしていた。ちょっと前なら冗談のレベルだったが、いくらないでも長生きしすぎではないか。森繁久弥と赤塚不二男の二人は人魚の肉でも食べたんじゃなかろうか。クローン説も捨てがたいが。
閑話休題。死ぬと当然、特番が組まれるわけで、深夜に小さんの独演会の様子が放送されていたわけだ。前述のように、落語は好きなのでずっと見ていたのだが、これがつまらない。たぶん、原因は歳を取ってからのものばかり放送したからだろうと思う。歳を取った方がいい味が出るとも言うが、落語はしゃべりが命だしメリハリがないと話がわかりにくくなる。老いが見えると素直に笑えないというのも致命的だ。最近、笑点を見ていても歌丸ネタで笑えなくなってきた(まあ、マンネリ気味という話もある)。今にも死にそうな人間を連れてきて「早く死にやがれ」なんて毒蝮なしゃべりをするなんて、それでは笑いじゃなく狂気である。
その点を考えると、死後に老年期の映像を流すのは死者に鞭打つ行為のように思える。どうせなら、一番乗りに乗っている時代の映像を見せて欲しいものだ(まあ、小さんの最盛期の映像が残っているのかという問題はあるが)。