佐野眞一「だれが『本』を殺すのか 延長戦」を読む。出版不況を扱った前作ノンフィクションの続き……かと思いきや、その後行った対談、書評などをまとめたものであった。ちょっと手を抜きすぎなんじゃないかと思わんでもない。反響を綴ったにしては内容が薄すぎる気もするし。

読んでみて改めて思うのは、出版業界って見た目と内実がまったく違うんだよなあという点。出版業界全体を眺めてもソニー一社の売上げ並みって、そんなものですか。あれだけ本が出てて、あれだけ世の中に出回ってるにも関わらずである。「多品種少量生産」は儲からないと書いてあったが、集約性が低いわけだから当然といえば当然なのか。
確かに最近本が出すぎではある。とはいえ、この書籍の大量生産状況のおかげで、コンピュータ関係の書籍が手に入りやすくなっているのは個人的には助かっているし、SFにとっても同様だろう。昔に比べて専門的な書物の点数が増えているのは個人的にはうれしい。とはいえ、今の状況は明らかにオーバーな訳だから(いったいJava言語入門は何冊出たんだ)、その内必ずしっぺ返しをくらうんだろうけど。