アルフレッド・ヒッチコック監督作品「ロープ」を見る。舞台劇っぽい設定で殺人犯の心理劇を見せてくれる。なんとなく「志村、うしろ!」を思い出す。相変わらずヒッチコックのカメラワークはすごいなあと思うのだけど、最後の方の教授の講釈がわけわからん。哲学関係の話なの?



田中聡著「妖怪と怨霊の日本史」を読む。新書とは思えない力作。いやはや、これだけの資料を良く調べたものだ。紹介される各エピソードは非常に面白いし、日本書紀の解説本としてだけでも読む価値はある。……とはいうものの例によって民俗学的なダメさが余りにも足を引っ張りすぎている。
民俗学のダメなところは、その強引な解釈(こじつけ)にあると思っている。論文であっても、「ムー」を読んでいるのではないかという気になることさえある。別に資料だけでも十分魅力的なのだから、あれやこれやと無理に解釈する必要はないと個人的には思う。歴史学に比べ民俗学は資料自体が少ないし観察対象も狭いのだから解釈の正当性を示すのが難しいであろうことは想像に難くない。しかし、だからといって素人が見てもわかる飛躍をしてまでこじつける必然性はあるまい(とはいえ、その自由さが歴史学ではできないような面白い研究に繋がっているという可能性は否定できない)。

とりいさんから久々にメールがきた。そのメールに対する返信の中で私は

マルクス経済学を否定する方法として考えたのは、剰余理論の前提となってる「労働価値説」です。労働価値説を否定するのは簡単で「マニアグッズがなぜ高い値段で取引されるのか」をまったく説明できない点を主張すればいいはず。
と書いたのだが、送信後、本当にこのことは言えるのだろうかと思い直した。
マルクス的に考えればヤフオクのグッズ売買において「一般人の売ったグッズの値段とマニアの買った値段の差額は搾取である」と考えられる。すなわち、一般人はマニアを搾取しているわけだ。
そうか、そうだったのか。云十年生きてきて、今はじめて気付いたよ(^_^;
……やっぱり階級闘争するんだろうか。