中田薫著、関根虎洸、中筋純写真「廃墟探訪」を読んだ。面白かった頃の「GON!」に連載されていたアレである。至福の時間を感じさせてくれる良き本。押井守が語るまでもなく廃墟というものは、人をわくわくさせるわけだが、私のような怪談者にとってはなおさらである。「以前」人が住んでいた空間というものは、時が止まった異空間のような奇妙な雰囲気がある。まあ、実際の廃墟はこの本にも書かれているように新たな住民が住み着いたりしていたりするわけだが、そういう空間は荒れ果てていても人間の空気が感じられてしまっていまいちだ。やはり、昔にぎわった場所が廃墟になっている方が「もののあはれ」が感じられて良さげ。とりあえず良い本なので、心の荒んだ人はこれを読んでいやされませう。
どうでもいいことかもしれないが、表紙に「廃墟ブームの真打ち登場!!」などと書かれているが、いつのまにそんなブームが起こっていたんだ。初めて聞いたんだが。うーむ、謎だ。