久々に経済学関係の話題を書いたので、調べ物ついでにネットをブラブラしていると、リフレFAQ「余は如何にして利富禮主義者となりし乎」があるbewaad instituteこのページが取り上げられていることに気付いて、かなりのけぞった。私のページってそんなにメジャーだったか……てゆうか、リフレ派ってそんなに少ないのか(爆)
リンクにリンクを張っておきながら、4ヶ月間も気付かなくて申し訳ないなぁ。プライバシーの観点からアクセスログという奴を私は一切取ってないせいで、なかなか気付かないんですわ(←言い訳)
いちおう、紹介記事に自己フォローを入れさせてもらいますと、ここ最近、経済学の話が少なかったのは別に飽きてきたからではなくて、そもそも更新が少ないんですね(ヲヒ)。経済学関連の本もここに書いてないだけで原田泰著「奇妙な経済学を語る人びと」、小田中直樹著「ライブ・経済学の歴史」、岩田規久男著「ゼロ金利の経済学」、若田部昌澄「経済学者たちの闘い」、野口旭など著「エコノミストミシュラン」とか読んではいたけれど、やはり仕事を始めてしまうと時間も取られるので書評まで書いている余裕がなくなってしまったというだけの話だったりする(まあ、世の中そんなもの)。
実は、最近株を始めてしまってその下調べに時間がかかっていたとかいう話もあるけど、それは秘密(^_^; とはいえ、株を始めてわかったけど勝つのに経済学の知識はけっこう重要。経済学の知識があれば景気の先行きがある程度見通せるので、他の人よりかなり有利な立場に立てる(とはいえ、ラッキーマンにかなわないのも事実。人間力は重要なのだ)。
日商簿記3級の試験勉強をやってたので日記を更新してる時間がなかったという、もっとマシな理由もあるが、これもまだ結果がわからないので同じく秘密(^o^;


ジョセフ・E・スティグリッツ著「人間が幸福になる経済とは何か」を読む。スティグリッツ先生マンセーって感じのすばらしい本である。政策を司るものは全員読めといいたくなる。経済学という言葉を聞くと一般的には「市場原理主義」と感じる人が多いが、この本を読めばそんなのがいかに嘘っぱちなのかがわかるはずだ。
曰く「大きすぎる好況(=バブル)は不況を呼ぶ」
曰く「市場は失敗する」
曰く「政府が赤字削減しても景気はよくならない」
曰く「規制緩和すべきでない場合もたくさんある」
曰く「不適切なグローバリズムはろくでもない結果をもたらす」
いかに日本のマスコミの主張とは異なったことを言っているかがよく分かるが、これらは現代の経済学ならば当たり前のこととして教科書に書いてあることばかりである(グローバリズムはそうでもないか)。「神の見えざる手」は万能ではなく(スティグリッツは「存在しない」とさえ書いている)市場はしばしば失敗する、だから政府がそれを補う必要があるのである。現在のデフレも「市場の失敗」の一例である。企業は需要が減ると「コスト削減」を始める。これは個々の企業にとっては明らかに正しい選択であるが、消費者の収入を減らし需要はさらに減る。結果的には企業の収益をさらに圧迫することになる。
*1
*2
特に今、日本も規制緩和が叫ばれている状況であるから、アメリカの教訓は大いに学ぶべきだろう。この本の内容は他人事ではないのだ……などと言いながらもこの本を読むと「ダメなのは日本だけじゃないんだ」という安心感が……。いや、安心しちゃあいかんのだが。

*1:このようにミクロでは正しい行動がマクロでは良くない結果をもたらすことを「合成の誤謬」と言う。合成の誤謬は市場の失敗の一例である。

*2:この事例は、必ずしもアダム・スミスの「神の見えざる手」を否定しているわけではない。需要はゼロにはならないので、百年後か千年後か知らないがいつかは需給が一致する。でも、いつ一致するか分からない上、需給がそんな低いところで一致するのでは多くの人が悲惨な死を迎えていること請け合いである(そういう意味ではスティグリッツの「神の見えざる手は存在しない」という弁は厳密ではないが、事実上正しいのである)。