キャシャーン叫んで曰く、「はやく人間になりた〜い」

伊勢谷監督作品「キャシャーン」を観る。かなりショックでかし。たかが、たかが宇多田ヒカルの夫なんぞにこんな真っ当なエンターテイメントを撮られてしまうとは……。
たしかに日本語ラップに似た気持ち悪さとか、思想的にどうよとか、アクションシーンは樋口の手柄やんけとかいろいろあるのは確かなんだが、たった6億円でこれだけしっかりとした映画を作れる監督が日本にそういるとは思えない(ちなみに、中野裕之の赤影が10億、押井のアヴァロンが8億である)。私はこの映画自体さほど面白いとは思わないし好きでもないが、伏線の張り方や演出はたしかにプロのそれである。物語としては嫌悪感すらあるが、悔しいことに映画の出来として認めざるを得ない。これが才能ってやつなんだろうか。
あと、これはどうでもいいことだが、大滝秀治の顔が至るところにある街というのは極めてシュール。ある意味、一見の価値がある。



ウルトラQ Dark Fantasy」第4話「パズルの女」、第5話「ヒエロニムスの下僕」を観る。第5話は「女優霊」「リング」高橋洋脚本と言うこともあって期待したのだが、勘違いしてるんじゃない? という印象。4話、5話ともこれでは世にも奇妙な物語であってウルトラQではないと思うのですよ。ウルトラQである以上、やるべき物語はホラーSFであって怪談話ではないはずなのだ。そういう意味で、上原正三のやった第1話『踊るガラゴン』や金子修介がやった第3話『あなた誰ですか?』こそが正しい方向性だと思うのだが……。
ちなみに第5話のヒエロニムスはオカルト系で結構有名な話(マリーセレスト号とかと同類の話)。この元ネタの話自体なかなか面白くて、私も好きなんだがあんまり小説とかのネタになったのを見たことないなぁ。こういうネタを選んでくるあたり高橋洋はえらいとは思う。あとはもう少しSF的な話展開にしてくれればいいのに。

<メモ> 固定バスケットによる価格指数をラスパイレス指数、可変バスケットによる価格指数をパーシェ指数と呼ぶ。前者の例としては消費者物価指数、後者の例としてはGDPデフレータがある。ラスパイレス指数には上方バイアス、パーシェ指数には下方バイアスがあるという特徴がある。このため、二つの指数の幾何平均をとったフィッシャー指数というものも提唱されている。ちなみに、ラスパイレス、パーシェ、フィッシャーとも各指数を提唱した経済学者の名前である。
[参考] 総務省統計局 統計に関するFAQ