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「新しい金融論」をムズいとか思いながらググってみたら、羊堂本舗さんところにスティグリッツが金融政策マンセー発言してるよという公演のスライドがあったので訳してみた。
うーむ、まともだ。てゆうか、やっぱりスティグリッツはリフレ派じゃないか。
付記:松原はスティグリッツ先生に詫びろやゴラァ
デフレ、グローバリゼーション、新しい金融論
-ミクロ的基礎付けがない
-70年代において、合理的個人が効用と利益を最大化するという仮説から導けないことが関心事だった
-価格の硬直性に起因する問題
-70年代はインフレが問題だった
-今日、多くの国々はデフレを心配している
-30年代でさえ、価格と賃金の硬直性という仮定に確信が持てない
貨幣の取引需要に基づく金融論はひどく疑わしい
経験主義に基づいた難問・難題(I)
経験主義に基づいた難問・難題(II)
経済理論を進化させる
-不完全・非対称情報は生産・労働・資本市場を不完全にする
-行動の中には、系統的な「非合理性」がある(カーネマン、トヴ
ァースキー)
-不完全雇用の問題を切り離して仮定している
-もっと大雑把にいえば、詰みあがった理論と不完全・非対称情報と非合理性についての証拠を無視している
-典型的な主体では非対称情報を持つ事ができない
-株式市場の振る舞いは、非合理的な強気と弱気、集団行動などを見せる(シラーなど)
理論の基本要素(I)
理論の基本要素(II)
-需要と同様に供給側にも焦点を当てる
-生産にはリスクがあるため(そして、完全に投げ出すことはできないため)経済へのショックは、生産意欲に影響を与え得る。特に小国開放経済の中でその関係は、原理上、生産に対し水平に近い需要に直面するはずだ。―需要は問題とならないだろう。
理論の基本要素(III)
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-信用の供給は、致命的な制約となり得る
-需要と供給は相互に絡み合っている
-一期間の需要ショックは、続く数期間の間、供給に対し影響を与える
-企業のバランスシートの悪化は、生産の低下をもたらす
-銀行のバランスシートの悪化は、信用供給の低下をもたらす
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重要な非線形性のために再分配(例えば、幅広い価格の変化を通じてなど)が問題となる
-より貧しくなった人びとの損失は、より裕福になった人びとの分を埋め合わせた増分に比べたとしても、総需要をより大きく減少させるかもしれない
新しい金融論(I)
-信用(貸付資金)の供給を基盤としている
-銀行(とその他)の関わりを基盤としている
-情報の問題
-信用の価値の確認
-貸付契約の監視と規制
-銀行は、信用サービスに従事する「企業」である
-リスクの負担を伴う
-サービス提供の意欲と可能性はバランスシートに依存する
新しい金融論(II)
-理論は、(1)どのように経済にショックを与えるのか、(2)(マクロと規制の両方の)政策が信用を供給するという銀行(あるいは企業など)の能力と意欲にどのような影響を与えるのか、という点に焦点を当てる。
-規制政策は、マクロの経済効果を持っている
-理論は、倒産、(標準的な一般均衡の生産と結果の連鎖と同じくらい重要なものとして)企業間の信用連鎖に特別の注意を払っている
グローバリゼーションは、いくらかのデフレバイアスを起こす
-強い統合には「伝染性デフレ」という意味がある。―ともかく、別の国の政策が強い影響をもつ
-より多くの競争
-国際的な貯蓄システムは、実質的な国際的利益を毎年、単に「埋蔵」させてしまうことを意味する
-インフレに焦点を当てると、相殺するための拡張的金融政策には制限がある。―安定協定はヨーロッパにデフレバイアスをもたらした
-貿易黒字の合計は貿易赤字の合計に等しい。だが、不釣合いな政策の反応がある:(インフレへの恐れからくる)通貨切り下げと貿易政策の制約や収益の削減を伴う赤字を削減するための赤字国での圧力は、短期的な道具にしかならない
処方箋(I)
-理論は、バランスシートに注目することを提言している
-デフレからインフレへの移行は、バランスシートの改善を助けるかもしれない。―デフレの負債の実質価値を増加させるため、取り消すことのできない被害を与える
-しかし、満期が不一致となるような機関では、バランスシートの毀損に気付くかもしれない。―インフレや利子率の上昇を必要とするかもしれない
-デフレからインフレへの移行は、より低い実質利子率へ導くかもしれない
処方箋(II)
-概して、通貨切り下げは、多くの債務者に信用を与え、日本のバランスシートを改善するだろう
-そして、デフレの削減を助けるだろう
-通貨切り下げによる通常の貿易利益が加わるだろう
-銀行のバランスシートを修正する従来の方法は、銀行から政府へと問題を移行させる
-ただし、従来的な方法と同じくらい正確に政府の立場を良く変える見通しを提供する従来的ではない方法もある
重要な質問
重要な教訓
-たとえこの処方箋がうまくいくとしても、日本の長期的な問題は解決されないだろう
-特にサービス業のような経済の中の別の場所では製造業での革新を上手く利用できない
-しかしながら、もし日本が短期的な総需要の不足が続く状況について何もしなければ、金融問題の山積、新しい技術への投資の減少と言った長期的問題を深刻化させる本当の危険がある。
一般的な結論
-新しいマクロ理論、新しい金融論のパラダイムの必要性
-新しい理論は多くの現象により良い説明を与える
-もっと重要なことは、新しい理論は、様々な政策課題をどのように考えればいいのかという洞察を提供する
そういえば、以前訳したスティグリッツの「アウトソーシングと失業」だが、いろいろ調べた結果、国際貿易することによって全体としては利益を得るのだが、後進国と競合するような国内の非熟練労働者の賃金は下がるからそれが問題だと言っているということではないかと一人で納得。
どっかの本でクルーグマンも「非熟練労働者の給料は下がるのだが、国全体には利益があるのだという点を強調したい」と言っていたのを思い出した。私はどっちなんだろうな。最近