Dvorakキーボードは信用できるか

16日のゴキブリ28号さんによる指摘を受け、「THE FABLE OF THE KEYS」を機械翻訳(^_^; の力を借りながら読み直してみました*1

基本線として人間工学のところ以外は、なんだかゴシップみたいな話で割とどうでも良くて、キーとなるのは人間工学のところだけ(ぉ と感じたので、そこだけ訳してみました(ここだけは自力)。誤訳の指摘は歓迎します。

B. 人間工学の資料に基づく根拠

キーボードの相対的なメリットに関する最近の研究は、人間工学の資料において見ることができる。それらの研究はDvorakの利点が小さい、あるいは存在しないという根拠を示している。例えば、A. MillerとJ. C. Thomasは「タイピングの一般的な目的において、現実問題としてQwerty以上に有意な利点が見つかる選択肢は見つけられないという事実だけが残る」(40)と結論付けている。手と指の動きの解析法に基づく二つの研究で、R. F. Nickells Jr.は、Dvorakは6.2% Qwertyよりも速いことを(41)、R. KinkheadはDvorakには2.3%の利点があることを(42)見出している。Donald NormanとDavid Rumelhartによるシミュレーション研究においても同様の結果が得られている。

我々の研究において…初心者に、Sholes(Qwerty)キーボードと(Sholesキーボードの事前知識をコントロールするために)ランダムな配列で構成したキーボードといったいくつかの異なったアルファベット配列で構成されたキーボードを使ってタイピングしてもらう実験を行った。初心者はSholesキーボードにおいてわずかに早くタイプした。おそらく事前知識を反映してのことだろう。我々は我々が作ったシミュレーションモデルを使って専門のタイピストについて研究した。ここに様々なアルファベット配列のキーボードと共にSholesとDvorakのレイアウトがある。シミュレーションではアルファベット配列のキーボードはSholesキーボードよりも2%〜9%遅いことがわかった。そして、DvorakキーボードはSholesのものよりも約5%ほど速いだけだった。それらの数値は、DvorakやSholesのキーボードを比較した別の実証研究や専門タイピストのためにキーボードを比較したCard, Moran, Newellによる計算とも一致している。キーのレイアウトは驚くほど小さな差異しかもたらさない。SholesとDvorak、あるいはタイピングスピードによって両者よりも優れたアルファベット配列のキーボードのいずれかを選択する理由はないように思われる。極悪なキーボードレイアウトを作ることは可能だが、私の研究した二つの配列に関しては無視することができる。

これらの人間工学の研究は、Dvorakキーボードで主張される利点が指の動きを削減する人間工学的な利点にあるという主張が歴史的になされてきたことを考えると特に興味深い。Norman and Rummelhartの議論は、なぜDvorakは支持者が主張するような多くの利点を提供できないのかということを解決する手がかりを提供している。それらは次のような議論である。

最適なタイピング・スピードを得るためには、キーボードは次のように設計されるべきである。

A. 右手と左手の負担を均一化する
B. ホーム(中央)列の負担を最大化する
C. 手の順番の交代周期を最大化し、同じ指によるタイピング周期を最小化する

Dvorakキーボードは、これらの変数、特にAとBに関しては非常に良い。タイプの67%はホーム列で左手と右手のバランスは47-53%となる。Sholes(Qwerty)キーボードはAとBの条件(大部分のタイプは一番上の列で行われ、両手のバランスは57%と43%)に関しては失敗しているが、連続してタイプされたキーが可能な限り遠くに離れて置かれるという方針はCの要因に恩恵を与えており、比較的高速なタイピングが可能になる(44)。

NormanとRummelhartの要因Cに対する説明は、空いた手が次のキーストロークに適切となるというキーストローク間のものである。それ故に、きめ細かいキーボード配列に関する機械的な問題を解決するというSholesの決定は、効率的なタイピングのために偶然にも極めて重要な用件を満足してしまったのかもしれない。

人間工学の研究で一貫して見つかっていることは、Dvorakには明確な利点がないとほのめかしていることだ。これらの研究は統計的に明確なものではないが、これらの否定的な主張は「違いを調べるときにひとつの行動は不明な差異とは少ししか関係しない」という科学的警句と似ているように思える。我々には、著者らが手法の不正確さの観点から科学的警句からDvorakQwertyが同等であるという仮説の棄却を妨げていると言っているように読める。少なくともDavidが引用したAppleが宣伝コピーで使用したDvorakのスピードにおける優位性が20-40%あるような何んらかの理由などはないことを示している。さらに、この研究はDvorakキーボードが経験豊かなタイピストほど普通のタイピングには有意な点はないかもしれないことを示唆している。Dvorakが「合理化した」キーボードによる原理は、タイピングがとても複雑な動作になるおとを考えると、幅広い熟練したタイピストの動作を完全に捉えていなかったのではないかということを示している。

世界で最初のタッチタイピストとして知られるFrank McGurrinの言葉で締め括りとしたい。

オペレータに新しい文章を取り上げ、それをどのくらい速く書けるか見せてあげてください。そして、その文章を練習した後、再び時間を測ってください。彼は、速く書けるようになるんだと思うでしょう。特定の文章をもっと練習すれば、新しい文章でも二倍程度のスピードで書けるようになるのではないかと。さあ、別の新しい文章を取り上げてみてください。最初の文章の練習を始める前のスピードに戻っていることに気付くでしょう。これはなぜか? 指は同じ速度で動くことができますが、心がキーに馴染んでいないのです(45)。

もちろん、どんな物理的な動作の効率も練習によっておそらくは改善することができるだろう。しかしタイピングスピードの限界は、McGurrinの経験によれば、精神を伴って行うもののように思われる。少なくとも神経のスキルは、指が必要な動きを達成するためのスピード上の限界にはほとんど関係ない。

感想としては、やっぱり最後の一節いらないよなぁ(w は置いておくとしても、DvolakキーボードがQwertyキーボードよりもスピードの面では5%ほどしか優れておらず、20〜30%の優位性はなしというという点は揺るがしがたいですね。

というわけで、まず、その点に関しては前言撤回。

教育の容易さに関しては、理論的根拠がよくわからんので、そんなものがあるとは到底思えない(アルファベット順キーボードとかならわかるが)とそもそも思っていたので、この点に関しては議論の余地なし。

疲れに関しては、実際に使っている人が疲れ難いといっていることを考えると一概に否定できないかも。これに関しては保留かな。誰かMRIとか使って「キーの寓話」を覆す人はいませんかね?

*1:ちなみに使ったのは、SOURCENEXTの「本格翻訳4」ですが、あまりすぐれものではないですね。Excite翻訳の方が訳の質は高いみたいです。まぁ、1980円に文句を言ってもしょうがないですが(^_^;