IT商談の“引き合いバブル”,失注の理由をご存じですか

古い記事だが、なんで話題にならなかったのか不思議。

ユーザーが「信頼できるシステムをより安く」したいのは重々承知しているのだが、こういう見積り依頼ばかりをやたら出しまくられるのは本当に困る。提案書の作成という作業は、実質的にはシステムの概要設計をやるようなものだ。建築で言えば大まかな設計図を作るようなものなのだから、スキルも頭も体力も使う作業である。しかも苦労した挙句、受注できたとしても競争の結果特別割引価格になっているし、失注すれば提案書作成時間が丸損となるのだ。

もちろん、会社対会社というシビアな目でみればそれでもいいのかもしれないが、作る人間さまは著しく消耗するのである。

しかも、本当にそれがお客にとって利益になっているのかは微妙で、例えばRFPには「〜できること」と書いてあるものの、別の手を使ったり、一部機能を諦めるだけで価格を大幅に押さえられる場合がよくある。例えば、担当者が詳しくない人だったりすると、必要もないのに「24時間・年中無休・ノンストップ」などと書いてしまい、重量級のハードウェア構成の見積りが上がってくることになる。信頼関係があればそこら辺も勘案して提案できるが、RFPベースだとその内容=顧客の要望とみなさざるを得ないので本当に顧客にとって良い提案をすることは難しくなる。

まぁ、景気が回復すればこういう不毛な儀式も緩和気味になるかもしれないけれど、結局それだとリフレ汁! という話にしかならないしなぁ。