続・相対所得仮説

相対所得仮説と言われるものには大きく二つあるらしい。どちらもデューゼンベリが言い始めたものらしいが、経済学内のおける位置づけがぜんぜん違うようだ。

時間的相対所得仮説
消費行動は過去の所得に影響を受けるというもの。モデル化する際には、過去の最大所得を用いる。ただし、通常はもっぱらミクロ的基礎付けがあり、よりデータの説明力が高いフリードマン恒常所得仮説が用いられる。
空間的相対所得仮説
消費行動は他人の所得水準に影響を受けるというもの。経済学モデルによる説明例がまったく見当たらないものの、社会学(など経済学以外)ではこちらの方が主流。

技術的には、短期は絶対所得仮説、長期には恒常所得仮説を使うようだ。

下記、web上でも読める参考文献。

いちごにもあった。
http://www.ichigobbs.net/cgi/15bbs/economy/0560/274-303

ふむふむ、データのフィットは良いけど、理論がないから経済学的にはつまらんということなのか。うーむ、経験則として良さそうなら、ミクロ的基礎付けて説明してやる!ってやつがいてもおかしくない気はするんだが、そうなっていないのは何でなんだろう。

[2005/10/18 追加]
ここにもあった。
http://www.ichigobbs.net/cgi/15bbs/economy/0339/
http://www.ichigobbs.net/cgi/15bbs/economy/0887/413-417

高田保馬=ディユーゼンベリー効果というのがあるらしい。その効果の定式化の際に他者の所得水準が入った効用関数が出てくるようだ。効用関数に他者の所得水準が入っても良いという明白な証拠がやっと見つかった*1

奥野・鈴村「ミクロ経済学Ⅱ」に似たモデルがあるとのことなので確認してみる予定。

[さらに追記]
本屋で奥野・鈴村「ミクロ経済学Ⅱ」を見てみたのだが、そんなモデル載ってなかたよぅ。版が変わって削除されたか?*2

*1:効用関数に他者の所得水準を入れてもよいことは、2005年5月30日(の日記のコメント欄)時点で納得済み。「価格理論とその応用」にも他者の所得水準の例が出ていたが、あの例は自分が他者に与えたことによる効用であったため、あの当時持っていた「選択できないものを効用関数にいれてよいのか」という疑問に答えるものではなかった

*2:奥野・鈴村「ミクロ経済学Ⅱ」で「効用が高い」という表現を発見。今更どうでもいい話だが、効用が高いという表現は経済学書の三冊に一冊くらいの割合で見られるようなのだが。くそぉ、青春の光と影をもてあそびやがって以下略