上限金利規制はなぜ問題か

えらい今更感が漂う話題ではあるけれど。

いろんなところで話題になっていたのは知っていたのだが、じゃあ具体的にどうよ、と考えたときに妥当なのかどうかよくわからなかったので放置していたのだけれど、ブックオフに寄ったところ「経済学で読み解く消費者金融サービス―規制と消費者保護を考える」という本を見つけてしまったので読んでみることにしてみた。

この本によると、上限金利規制の問題点は下記の通り。

クレジットの利用者が減少する
上限金利が定められると、その金利がリスクの上限となり上限金利がなければ借りることのできた人が借り入れできなくなってしまう。
業者数が減り、市場の競争が少なくなる
金利規制によって市場から得られる総利益が圧迫されることで、小規模業者は撤退を余儀なくされ、新規事業者が参入する魅力もなくなる。結果的に市場の競争が少なくなり、金利の低下やサービスの向上が起こりにくくなる。
金利引下げに繋がるわけではない
上限金利以下ではいままでどおりの金利で貸付が行われ、それ以上では貸付が行われないから、金利自体の引き下げに繋がるわけではない。
違法業者の増加などの副作用がおきる
借りられなくなった高リスクの人々は違法業者に頼らざるを得なくなる。

しかも、これらの問題は、経済学的知見から求められた机上の空論などではなく、実証研究による裏付けもきちんとあるようだ。すなわち、上限金利規制はサービスの低下と違法業者の跋扈を許す悪法であり、ただちに撤廃すべき類の法律だということである。

しかしだ、そもそも上限金利規制が叫ばれた理由は、異常な金利と違法な(=恐喝まがいの)取立てにあったはずである。前者は、前述の通り金利が異常なのでなくリスクに見合わせるためには金利も高くせざるをえないということで解決だが、後者はどう考えるべきなのだろうか。

違法な取立てがなぜ起きるかを考えると、競争が激しくなることによって営業には強い圧力がかかり、結果的に違法行為をしてでも利益を稼ぎたいインセンティブが発生してしまったということなのであろう。そのように考えると、もし金利の上限によって独占的な利潤を企業が獲得するならば、違法行為をする必要は減ることになり、違法な取立ては減少するかもしれない。しかし逆に競争が激化すれば「違法な取立てを行わない」という評判が業者選定の重要なポイントになることも考えられる。

私には後者の方が正しい選択に思えるがいかがだろうか。