凄いのにそう見えない人

一時期評判になった、病院再建のプロ。
あの人の「再建戦略というのは非常に簡単。とにかく急患を受け入れて、病院の窓口をきれいに改築して、職員の給料を引き下げて…といったもの。
どこの病院にいっても、やりかたはだいたい同じ。
現場は大混乱。その人の「仕事」ぶりというのは嫌でも感覚される。「使用前、使用後」の違和感がものすごいから、その人はたしかに大活躍しているように見える。
実際には、その人が去ったあとの病院は、もう悲惨なことになっているらしいけれど。
「病院をなんとなく改革したい」という、病院経営者のあいまいな概念と、再建請負人が実際に施行する、現場を変える様々な戦略。
あいまいな概念を単純化して考えるとき、そこに情報の欠落が生じる。本来は不都合な欠落。ところが、依頼人に感覚される仕事の量というのは、たぶんこの欠落の大きさに比例する。

強調は私によるもの。そうなんだよな。

コンサルタント主導開発の問題点としてよく挙げられるのが、この理想に基づき設計を行い現状調査を怠った結果、現場では使い物にならないシステムが出来上がるというもの。たしかに現状の非効率な部分は沢山あるわけだけど、実際にそれで業務が回っているわけだから、少なくとも無視してはいかんのだよな。

こういった改革の結果として優秀な人が残ればいいが変化の前後でインセンティブ構造も変わり他でも働けるような優秀な人がより住み心地の良い労働環境を求め転職していく一方、逃げ出せない無能な人のみが残っていくなどといったことも起こる。

まぁ、コンサルタントというのはある種の狂言回しであるということを認識しておくことが重要なのかも。決してコンサルタントにすばらしい知識や経験を求めてはいけない。どんなに優秀だったとしても、ついこの前やってきて仕事の後は責任も取らず去っていく人々が真の解決策など生み出せるわけがない。自社のことを本気で考えられるのは社長や社員達だけなのだから。