法人税の真の対象者は誰だ

そもそも法人なんて人はいないわけだから、実質的には消費者と労働者と株主から曖昧な形で税金を徴収しているに過ぎない。

http://d.hatena.ne.jp/arn/20080615#p2

上記エントリにnight_in_tunisiaさんからトラックバックをいただいた。

たしかにnight_in_tunisiaさんの言うように会社は株主のものである以上、法人税は株主に対する税金であると考えるのが一般的だろう(調べる限り日本は法人税に法人擬制説をとっているので株主への税金であるという解釈は法理論上も正しいようだ)。利益が上がっているからといって消費者に還元しなければならない理由はないので、消費者への税金というのは正しくない。では、労働者はどうか。これは微妙ではないか。労働経済学の教科書の実証データを見る限り、労働者の賃金は会社の利益に相関している。また、現在の賃金体系は賞与という形で会社が得た利益に応じた成果給を取り入れるのが一般的であることを考えると、必ずしも法人税が労働者への課税ではないと言い切ることはできないのではなかろうか。

消費税のような所得に依存しない税は「逆進的」というレッテルを貼られている。

「逆進的」とかそういう言葉は多分にイデオロギー的で、累進課税のある税は所得移転の起きる税、定率課税の税は所得移転のない税、とかそういう説明的な表現が望ましいと思うのだがいかがか。

http://mathdays.blog67.fc2.com/blog-entry-917.html

消費税が逆進的と言われる所以は、所得に対する消費性向に起因するのではなかったかと。また、累進課税について「累進課税には課税のタイミングにも重大なインパクトがあってややこしいので困ったものである」と書かれているが、変動所得の割合が大きい人というのは世の中にそれほど多くいるわけではないので、実質的に生涯所得に対する課税となっているわけで、それほど気にする必要はないようにも思う。また、作家やモデルなど変動所得が大きい職業の場合、所得税ではなく報酬に対する源泉税が適用されるため累進性による影響は受けにくい。

ただし、プロ野球選手は個人事業主扱いで税金面での優遇がなくちょっと損な感じがなくもないけれど。