なぜ私は悩むのをやめリフレ政策を支持するようになったか

リフレ派に関しては、リフレ派の主張の経済学的な是非という本筋の問題に加えて、彼らの研究者としての資質やその論争スタイル、集団としての振る舞い方の是非といった傍流の問題までしばしばクローズアップされるため部外者からすると非常に理解しにくいのではないかと思います。

いくつかお知らせ : ECONO斬り!!

もリフレ派なのだと思うけど、経済学においては完全に部外者なので、よくわからんのよね。正直、日米経済学会での日本の不況に対する主流な見方ってどんなんでしょ。

書籍とか掲示板とかで漏れ聞く話や「大恐慌を見た経済学者11人はどう生きたか」を読む限り、アメリカの学会だと、日本の不況への対処として金融政策を主軸にすえるべきという考え方を主流と考えてよいような雰囲気を感じる(具体策としてインタゲを当てるかは別の話だけど)。ただ、実際のところはどうなんろうという疑問は常にある(ただ、高橋洋一氏の本を読んで、想像はそれほど間違ってないんだろうという確信は強まったのだけど)。

その一方で、日本はというと金融政策を重視している学者として岩田規久男先生、伊藤隆敏先生、伊藤元重先生、浜田宏一先生など大物もいるけど岩田先生を除けばそれほど大声で主張されている風でもなかったし、林文夫先生が供給要因を主張していたり、日銀出身の学者は皆金融政策無効を唱えていたり、世間的に名前の売れている学者はほとんど構造要因を主張していたりという感じでどちらかと言えば常に劣勢だと思っていたのだけど学会とかでは議論にならなかったのかなぁ。

いまだにマルクス学者がうようよしているような国なので、アメリカの学会に比べると学者のレベルに差があるのだろう(学部レベルの知識でもおかしいと思える発言をする学者がいることには唖然とする)とは思うけれど、DSGEの専門家である加藤涼氏や件のyyasuda氏も金融政策一辺倒の主張には違和感を感じているなどの話を聞くにつれ、リフレ派の頭が狂っているのか、日本の学者がガラパゴスなのかよくわからなくなってくる。

私の場合、結局最終的には消去法でリフレ政策しか批判に耐えうるものがなかったというのが一番大きいと思う。特にバーナンキ背理法は簡単だけど、その含意は鉄壁と言っていい。査読論文ありのPh.Dの人がどんな最先端の理論を駆使し金融政策無効論を主張しようとも、通貨供給量の増加に対しインフレ以外の害を証明しない限りデフレの状況でさらなる金融緩和を行うべきでない理由はまったくないことが明らかになる(だって、インフレになるならデフレから脱却できるし、インフレにならないなら無税国家を実現できるわけだから、今の日本なら金融緩和を実施した方が絶対にお得。これは理論が高等になれば覆せるようなもんじゃない)。

財政政策がほぼ効果なかった件に関してはもはや実証で結果がでているし、金融機関の健全性も結局言われていた通り景気回復に対し遅れて回復したし、野口悠紀雄の良いデフレとか松原隆一郎の消費不況は論外だし、林先生の供給要因説はあちこちで否定されてるし、何と言っても2003年の非不胎化後実際に景気が回復しちゃったしね。個人的にはもはや議論の余地はないと思ってるんだけど、何をみんなそんなに批判するのか不思議でしょうがない。景気回復して困る人なんていないはずなのに。

正直、日本の学者が奥手すぎると思う。数学者や物理学者なら黙って論文だしてても企業なりなんなりが利用して役立ててくれるが、経済学者の論文なんて政策化されなきゃなんの役にも立たないんだから。株で儲ける役に立たないことは証明済みだしね(w

もっと学者同士が議論してコンセンサスを取る努力をしてほしいと真に願う。

[追記] 懐かしのザモデルスレを読み返すと、パッチワークだとOKだけど、DSGEではインフレ目標策が有効となる結論は導き出せないというところが問題になってるのかな、という感じ。あれから5年以上経ったけど、koiti_yanoさんが研究に勤しんでいるということは、まだ結論は出ていないということなんだろうか。

[さらに追記] 「現代マクロ経済学講義―動学的一般均衡モデル入門」を読むとスヴェンソンの「Inflation Forecast Targeting」でインフレ目標の理論的フレームワークは完成と書いてあるし、本文でも取り上げられているのでDSGEのモデルがないというわけではないようだ。ううむ、一体何が問題なんだっけ……?