日銀は最後の官僚パラダイス

ちまたの反応を見ていると、どうも日銀は民間企業であるので批判すべきではないというような論調があるようだ。たしかに日銀は表向き株式会社である(正しくは日銀法に基づく認可法人とのこと)し、職員も一見民間人であるように見える。

しかしながら、日銀法を読めばわかるように、日本銀行は我が国の中央銀行であるし、株式の55%以上は政府が常に保有し、残りの株式にも議決権はない。ようするに株式会社というのは表向きそうなっているだけで、どのように見ても政府機関である。

その職員も一見通常の公務員とは異なるが、まず総裁からして国会同意が必要であるし、「その業務の公共性にかんがみ、その役員及び職員の職務の適切な執行を確保するため、役員及び職員の職務に専念する義務、私企業からの隔離その他の服務に関する準則を定め、これを財務大臣に届け出るとともに、公表しなければならない」とあるように、準公務員扱いである。役職員の給与等に関しても財務大臣に届出が必要であるし、特に役員は国家公務員と同等にするよう定められている。

実質的に公務員であるにも関わらず、日銀に関しては何を行っても問題視されない傾向にある。「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること」とあるにも関わらず物価安定に失敗し続け、「政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない」とあるにも関わらず政府方針に逆らい続けているという現状が続いているのであるが、マスコミその他、一向に強い批判を受けることはない。むしろ、日銀批判者が「独立性に介入した」と批判されるような状況だ。

このような状況になってしまえば、そこに残るのは日銀職員という名の官僚パラダイスである。数年前には、日銀職員は他の公務員に比べ給与水準が2割弱高いという事実も公表されていたが、そろそろ日銀をきちんと監視しなければならないということに皆気付くべきではないだろうか。