クルーグマン先生どうしちゃったの?

結論はこうだ。もし短期金利がゼロになると、現金は短期債務の完全な代替物になる。そしてマネーサプライをいかに増やそうとも、債務もまったく同じだけ増加することで、すべての効果は打ち消される。まる。以上。



確かに中央銀行は別の政策もできる。たとえば長期債券やリスクのある資産を買ったりね。そしてこの対策は効果を持つ。でも、それは中央銀行が民間セクターのリスクを肩代わりしてあげることによるものだ。マネーサプライの増加とは本質的に一切無関係だ。

クルーグマンの結論 - I 慣性という名の惰性 I

裏切ったな!僕の気持ちを裏切ったな!(AA略

それはともかく。

現在のアメリカの状況を見れば、インフレ政策に悲観的になるのもわからなくはないが、日本での議論を踏まえれば永続的に実施することが困難な財政政策よりも景気回復局面まで永続的に実施可能なシニョリッジ政策しかないというのは明らかなように思える。

発言の内容自体は昔からの主張と何ら変わっているわけではなく、理解できなくはないが、そのことによってクルーグマンが何を言わんとしているのかがさっぱりよくわからんのだよなぁ。

[追記] id:koiti_yanoさんのクルーグマンは変節してない(昔からそう言っていた)というエントリも公開されたので、追記。

それはそうで昔からクルーグマンは財政政策にも積極的でそういう意味では変節ではないのは確か。でも、クルーグマンの状況認識としてなぜ今、インフレ期待やらシニョレッジではなく財政政策を中心に言及するのか、よくわからないところがある。FRBの政策が手詰まりに陥っているならともかく、国債の買取を大規模に行うなど出来ることはいくらでもある、まだまだ手仕舞いするには早すぎるように思う。

財政政策「も」やれではなく、財政政策「を」やれとクルーグマンが言う真意(というか勝ち目)がよくわからないのだ。