おのぞみの結末

スパコンの問題は、(少なくともボクにとっては、)民主党政権の真贋を判断する試金石となった。

経済「原理」主義で研究開発予算を切りすぎたメーカーが、数年後にまともな製品が出せなくなって大変になった例を考えてみれば、今、日本が直面している問題がわかるはずだ。

こんな仕分け人、無駄かも: 薫日記

しかし、短期的なリターンだけ、採算性だけを求められると、こういう土台となるべき基礎研究はほぼ確実に崩壊してしまう。

今回対象とされた理研スパコンSPring-8、バイオリソースなどは多くの研究者にとって欠かせないツールであるし、科研費、競争資金、若手育成、理系教育は、現役の研究者および次代の研究者の卵にとっては必要不可欠である。

事業仕分けと科学技術立国という幻想 - 徒然なる記録 - Chaotic Shore

竹内薫氏は、高橋洋一氏と共著を出していたりするから必ずしもその責任を追うべき立場にないのかもしれないが、結局のところ現在のように科研費が削られまくっているのは、日本が長期間に渡り不況を放置してきたからに他ならない。

そして、今回のデフレ脱却論争を見てもわかるように、現在の不況は多くの日本人が望んだ結果でもある。

現場としては必要不可欠のツールであるとしても、例えば目の前の貧困者の命とどちらが優先かと言われれば、私は後者を選ぶだろう。現在の経済状況を是認するのであれば、それは当然の結末ではなかろうか。

[追記] そもそも前提に疑問があるので、誰かデータを持っていたら教えてほしい。日本の場合、科学技術立国を担ってきたのは企業内研究が主で大学での研究は従であるという意識がある。たしかに材料系の基礎科学分野において日本は非常に強いが、自動車にしろロボット研究にしろ日本が技術立国と呼ばれるに至った貢献の多くは企業から生まれたのであって大学から生まれたわけではない。日本の科学技術への貢献としては、国の補助と企業からの援助どちらの割合が大きいのだろうか。

[さらに追記] こっちの方が説得力あるなスパコンの件は妥当かもしれないが、科研費の方はかなり問題含みであるようで。

[さらにさらに追記] 13日の仕分け結果の詳報を読んだのだが、競争的資金(若手研究育成)以外の項目に関しては妥当な結論のようにしか見えない。てゆうか、よくもまぁこんなくだらん事業を山のようにやってるもんだ。