学者が実証を踏まえることなく述べる放言について

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/12/post-9f04.html

学者が実証を踏まえずにこのような放言をブログで好意的に取り扱うのはいかがなものだろうか。

最低賃金については、実証においてもプラスの効果とマイナスの効果の両方があり、一概に否定すべきものではないが、マクロの経済状況に決定的に作用するほどのたいした効果がないことだけは疑問の余地がない。

最低賃金に対する私の評価は、ゼロは良くないがある程度の水準があれば、それ以上、政策として議論する価値はない、というものだ。

最低賃金制度には、雇用者優位の状況にあるような状況では意味があり、世間一般でみて著しく低い賃金を課している雇用者を排除する効果はあるが、高く設定しすぎれば失業者を増やすし(例えば、最低賃金労働者の属性と最低賃金引き上げの雇用への影響にも「最低賃金の上昇は10代男性労働者と中年既婚女性の雇用を減少させる」とある)、そもそも今現在失業している人には何ら効果がない。労働政策としては下策と言うべきであろう。

なぜ、このような制度を推進しようとする学者が多いのか首を傾げたくなるのだが、おそらく頭が悪いのが原因であろう、というのが私なりの結論である。

[追記] クルーグマンの一節を挙げ自身の馬鹿げた論説を補強するとはね。学者ならば、今の日本で最低賃金を上げることが失業率を上げることなく、またデフレを脱却させるとする実証研究を示すべきだろう。

前述の通り、最低賃金自体は経済学の古典的な議論とは逆の効果もあり、一概に悪い制度とも言えないという実証研究もある。だから、私も最低賃金を擁護したからと言って批判するつもりはない。

しかしながら、最低賃金制度はその効果があまりにも限定的であるため、雇用政策の一丁目一番地として挙げるには筋が悪すぎる。

現在の雇用情勢が悪化している一番の原因が景気であることは、どこから見ても明白であるにも関わらず、最低賃金制度のような労働・雇用政策のミクロな改善を主要な課題として挙げ推進することが専門家としての役割なのか、きちんと考えていただきたいものだ。