映画「WXⅢ PATLABOR THE MOVIE3」を見に行く。この映画の感想を一言で言うと「つまらない」。個人的には、無かったことにして「そういえばパトレイバー3ってまだ作ってるんだって?」と言いたい気分。本来ならば、この不始末に対しては監督である高山文彦を非難するのが筋であろう。確かに高山文彦という人はアニメ関係者には珍しく映画的演出ができる人であり、嫌いではないのだが、力不足の面は否めないように感じていた(それでも演出という行為を行っているだけ他のアニメ演出家よりましなのだが)。しかし、今回の映画は、そのいつものレベルなど比較にならないほどひどい演出なのである。はっきり言って演出が破綻している。
一度ぽしゃりかけたときに、総監督:高山文彦、監督:遠藤卓司というダブル監督体制になってしまったことが原因なのかもしれない。二人監督というのは最終的な意志決定がうまくできないので、絶対にうまくいかない。パトレイバー2からそのまま引っ張ってきたのではないかと疑いたくなる絵や演出、とりみきが書いたときそのままと思われる書き言葉ゼリフ、演出の力点も怪獣映画としても人間ドラマとしてもミステリーとしてもどれも中途半端に扱われていて一体何をしたかったのかまったくわからない。本来演出(すなわち監督)がしなければいけない作業がいい加減に扱われている。
できることならこの映画を誉めたかったんだけどね……。
北野勇作「かめくん」読了。悪くはないし決して嫌いというわけではないが、失敗作なのは間違いない。読み始めてすぐに、これは猫小説を書きたいのだなと思ったのだが、それなのに過剰なエピソードが始まって、もしかして違う展開に持っていくのか?と思ったら結局猫小説で終わってしまった。猫小説に過剰なエピソードは要らない。猫ってのはその行動を眺めているだけで楽しいのであって、劇的な展開は必要ないのだ。