朝っぱらから中田秀夫監督・鈴木光司原作 映画「仄暗い水の底から」を見る。やはり「リング2」の脚本集で監督をボロクソに言ったのが災いしたのか、高橋洋脚本ではない模様。
この作品、元々は短編があって、この映画で使われているのはそのリライト版。短編の方はずいぶん前に読んだことがあるけど、最後以外はほとんど違いはありませんな。別に悪くはないんだけど、元が短編だけあって内容が薄い。落ちも個人的には気にいらなくて、結局解決になってないやんとかつっこみを入れそうになってしまった。



怪談関係では、2ちゃんねる名スレの部屋で見つけたあとから考えると怖い幼い記憶などが面白い。引田天功含め昔のテレビはこんなことやってたんだなあ。確かに今はずいぶん健全になったとはいえ、今のテレビはつまらなくなったとは思う。まあ、時代のパワーというものもあったのだとは思うけれど。(世界ビックリ人間大賞とか、今思い出すと差別みたいなものもあったもんなあ)

押井守BLOOD THE LAST VAMPIRE 獣たちの夜」が文庫化されていたのでついつい買ってしまう。前の「Avalon 灰色の貴婦人」で痛い目を見たので、押井の小説は読まないようにしていたのだけど山田正紀が解説を書いていたので、とりあえず読んで見た。
思っていたほど悪くはない。というより、そこらの小説よりはマシと言ってもいい。とはいえ、映画だと意味を映像に押し込めそれほど饒舌にならないのに、小説だと云いたい事すべてを語ってしまうらしく薀蓄が長々と続き京極夏彦の小説みたいになっている。やはり小説家より映画監督の方が適任ですなあ。小説家としてはどう見ても二流だもの。
この小説を読んでて気付いたのだが、押井守という人は自分ではキャラクターを作れない人なんじゃないかと思う。「灰色の貴婦人」は本当に読んでられないのに「獣たちの夜」を読んでられるのは主役の丸輪零がまんま若い頃の押井守で準主役の後藤田一がまんま後藤喜一だからである。その他のキャラは余りにも薄っぺらい。押井守の代表作が原作つきばかりになってしまうのも納得。