ひさびさにビデオ三昧の日。以下、感想をば。



まず、はじめは堤幸彦TRICK」の一、二巻目。本放送時はいつも見逃していたのと私は基本的に最初から見たい人なので結局ビデオ待ちしていたことで今まで見ていなかった(しかもビデオが出たと思ったもいつも借りられてるし)。
相変わらずの堤幸彦なので割と楽しめる。堤幸彦のいいところはその軽薄な演出にある。最近のクリエイターと称するやつらは、高尚なことをいって実にどうでもいい物を作っているが、堤幸彦だけは違う。その演出はいい加減だし、すごく軽薄だし、むちゃくちゃかっこいいというわけでもない。だけれども、ちゃんと客に面白いものを見せようとしているし、その演出とうまくかみ合っている。
まあ、さすがに映画ケイゾクのサブタイトルが「ビューティフルドリーマー」だったときにはのけぞったけど。

次は、「オールナイトロング2」。ようするにフィクションのスナッフ映画。何かのホラー映画本で誉められていたので見てみる。
内容的には1989年におきた「女子高生コンクリート詰め殺人」を映画にしたようなもんなので、とても楽しめるようなものじゃない。はっきり言えば悪趣味。ただ、イヤな状況を作る部分は演出・脚本ともに上手くできていて、そこいらのホラー映画より明らかに上(特撮はまあまあくらい)。逆にだからこそ見てられない映画になっているし、映画館で流せなくなってしまったのだと思う(当時、18禁での上映も許可されず、ビデオ販売のみ)。
見終わった後、個人的には傑作だといってもいいかもしれないと思ったが、お薦めするようなもんではないでしょ。まあ、興味のある人はどうぞ。

四本目は、市川崑監督「獄門島」。金田一耕介もののひとつ。いつ見ても思うのだが、金田一は謎こそ解きはするものの結局関係者は全員死ぬ。一体、何をしに来たのかわけがわからない。この獄門島でも最後に「金は依頼人からもらいますから」と言っているのだが、依頼人に何を説明するのだろう。確かに謎は解いたわけだから「事件は解決」しているが……。

五本目。金子修介監督「ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃」。平成ガメラ金子修介が、樋口の弟子を連れてゴジラに参戦したわけだが、えらいすごい作品に仕上がってる。金子修介ゴジラに対する思いをこれでもかこれでもかというほどに詰め込んだような感じ。映像からはどことなく80年代の香りがするし、それでいて迫力がある。ゴジラの悪やくっぷりもすばらしい。平成ガメラは「新世紀怪獣映画」という感じだったが、今回のゴジラは「ゴジラ映画総決算」といった趣がある。
押井はどこまでもリアリストだが、金子修介はつじつまさえ合えばオカルトもOKという人のようだ。まあ、今回はあんまりそこいらの部分が入ってなかったが、怪獣映画はそもそも虚構なのだから、出来るだけうそ臭い要素は排除した方がいい気がする。ガメラの時もオカルトの部分だけがヘボくみえてしまっていたし。
金子ゴジラは良い。良いのだが、あえて問題を挙げるならば……もうゴジラやめようよ(ボソッ)