今日のトリビア: GNPのGはGNUのG



いちごで評判になっていた飯田康之著「経済学思考の技術」を読む。一見、ロジカルシンキングの本のように見せながら、実は経済学の基礎を学ばせた挙句、読者をリフレ派に転向させるというものすごい本。いや、本当に良く出来てます。ビジネスマン向けの経済学入門書として最適でしょう。
個人的には、著者の飯田さんにはもうちっと悪人になってくれればなぁという思いはある。私はこの本の目次を読んだ時にてっきり「ロジカルシンキングの本を装ったリフレ啓蒙本」に違いないと思い込んでいたのだけれど、そう考えると後半の切れ味がいまひとつに感じてしまう。
過去何度か経済に関した議論を他人とした経験から言うと、人と言うのは基本的に自分の意見が正しいという先入観に基づいて話を聞く。別にそれが悪いとは思わないし、私だってそうだ。しかし、このことは物事に対する正しい理解を阻む場合がある。著者がちょっとした曖昧さを気遣って書いた「はっきりとした判断をくだす自身はありません」とか「考えにくいのではないでしょうか」という言葉を捉えて、読者は「別に著者は私の考えを否定しているわけではない」と自分に好意的に解釈してしまうのである。
学者は、有意性がないとき「〜という命題は根拠がない」と書く。このことは確かに厳密に言えば「正しいとも間違っているとも言えない」わけだが、人間が生活するうえでの常識に照らせば、それは間違っているということに他ならないのであって、まかり間違っても「今は証明できないだけで、そのうち正しいことが証明される」わけではない。だが、読者がそういう当たり前のことをきちんと理解すると期待できない以上、この本のような啓蒙本で隙を見せるようなことはしてはならないのだ。

15日の日記を読み返してたら、「マネタリーベースが順調に伸び悩んでいる中、マネタリーベースを引き上げない…」などとわけのわからないことを書いていることに気付く。もちろん前者はマネーサプライですので、そこんとこよろしぽ(例によって、前の日記は改竄しますた)