経済学関係の話は打ち止めとか言いながら、読んでる本が経済学関係の本ばかりなので結局経済学の話になってしまうなぁ……。



稲葉御大の「経済学という教養」を読む。Hot Wired Japanの連載「地図と磁石 第一部」に加筆修正を加えたもの(第一部は本書の発行に伴い公開中止らしい)。経済学と聞いても政治経済学とか制度学派とかマルクス経済学なんかに手を伸ばしてしまうような人文系な人向けに「近代経済学」の重要性を説く啓蒙書(ようするにとりいさんみたいな人向け)。
連載の時から毎度楽しみにしていたとはいえ、基本的に私には人文系学問の知識がないので背景がよくわからないところもある。というよりも金子勝みたいに未だに反近経の立場を取ってる人は毎日何を考えて暮らしているのか本当に不思議だ。一度でも経済についてまともに考えれば、近代経済学をベースにする道以外選びようないはずだ(そういう意味でマル経学者というのは存在そのものが不誠実だ)。
途中でミサトさんとシンジ君が出てくるあたりアレだが、もうちょっとアレゲなところがあっても良かったかもしれない。でも、それを進めていくと「萌える経済学」みたいになってしまうか。「萌え経」って響きがいいな。これいいかも。ケインズたん萌え〜みたいな〜(藁)
昨日の日記で、「トンデモ本の世界」にあって「エコノミストミシュラン」にないものという文章をちらっと書いたが、そのひとつは「専門的素人」の存在だと私は考える。「トンデモ本の世界」の著者紹介を読めばわかるが、あの著者らが基本的に作家であったりジャーナリストであったりオタク評論家であったりと決して専門家ではない(前野さんは物理学者だが『いろもの』付きだし)。ミシュランを読んだ時に感じた印象は「これじゃ内ゲバみたいじゃないか」ということである。ようするに世界に広がりがない。象牙の塔の中に篭っている人たちが、一般市民のいないところで批判しあっているように見えてしまう(著者にリフレ派しかいないからなおさらそう見える)。「トンデモ本の世界」の良かった点は在野の、しかも普段から各所でなじみのあるオタク野郎どもが「トンデモ物理学」を笑いものにした点である。これによって当事者ではない側からの客観的な見解であるような信頼感を持たせることが可能となるのである。
東谷本や稲葉本にはそれがある。だが、ミシュランには残念ながらなかった。個人的には、あの本は人選を間違ったと思う(そういう意味では編集者の責任だ)。選ぶのならば、山形浩生稲葉振一郎、黒木玄といったメンバーでやるべきだったのだ(ついでに東谷も宮崎哲弥もリフレ派に転ばせて参加させるべきだ)。