思うニダ。日本の経済学の最大の問題は、「経済学の怖いお兄さん」がいないことなんじゃなかろうか。例えば、中村正三郎氏のような著名人が物理学についてトンデモな発言をしたとしよう。そうすれば、いわゆる「物理学の怖いお兄さん」からびしばしと突っ込みメールが飛んでくることは疑いない。
経済学を学びはじめて、ずーっと疑問に思ってるんだが、何で巷にこんなワケワカの論説が広まっているにも関わらず、それに対するツッコミが入らないのだろうか。インフレ目標ならまだしも、中国発デフレ論とか保護貿易とかサプライサイド経済学のように学者レベルでの意見の一致があり、教科書レベルの知識で十分否定可能なものもたくさんある。そもそもなんで私みたいな経済学のど素人が怖いお兄さん役を買って出てるのかという時点で間違ってる。
毎年、経済学部卒の連中はたくさんいるはずで、その連中はスティグリッツくらい読んでるはずだ。まぁ情報系の学部に入ってもプログラムが書けないまま卒業していくやつがたくさんいることを考えれば、経済学を理解しないまま卒業していく経済学部卒が多量にいても不思議はないけど。まぁ、教えてる方の教官からして、エール大学の浜田センセ曰く、


私は日本に来まして,どちらかと言うと役所に失望したと言うよりも,日本の経済学者に失望しました.インフレーションになったら金融政策を引き締めないといけないと教えている人が,現実のマクロの問題に応用するというセンスを非常に欠いている.そう教えている人が,デフレには金融政策は関係ないと主張している.
なんて感じなんで学生に文句言う以前の問題という気もするけど。
たしかに日本の経済学者は総体としてダメダメかもしれないけど、別にそれはダメじゃない経済学者がいないということを意味しているわけじゃない。少なくとも、教科書レベルの知識をどうこうするのにノーベル賞経済学者は必要ないし、森嶋先生の本を読む必要はない。物理学を学ぶためにアインシュタインに教えを請う必要はないし、プリンキピアを持ってこなくても高校の教科書で十分。むしろ教科書の方がよっぽどいいわけで。