年金をシステム設計的に考える(1)

bewaadさんに煽られてしまった挙句、連載なんぞと書かれてしまったので、まじめに書かねばならなくなってしまった。困った。仕方がないので勉強も兼ねてなんとか書き進めていくことにしたい。

いきなり前提だが、以下のように進めることを考えている。

  • 今回の連載に関しては現在のところ、根拠その他が甚だ不安であり(たぶん)多くの誤解や間違いを含むものと思われるが本文中ではすべて断言する形で偉そうに書き進めることにする。当然、問題の指摘は大歓迎である。
  • 昨日の構想ではオブジェクト指向分析の勉強がてら年金制度を分析する予定だったが、いろいろ漁った結果、オブジェクト指向分析なるものはクズだということが分ったのでUMLを使うくらいで基本的には無視し、むしろ窪田寛之著「コンサルタントになる人のはじめての業務分析」を参考に私見を交えながら進行することにする。

というわけで第一回である。

はじめに

現在、年金制度が大きな社会問題となっている。が、では年金をどうすべきかという議論となると専門家であっても様々な意見が錯綜しよくわからないのが現実である。実際にはさらに国民感情やら世代間の対立、年金負担額の増加など感情的な議論を巻き起こす要素満載なうえ、福祉なのか保険なのか、賦課方式か積立方式か、国家がやるべきなのか否か、どれも関係していそうでいながら微妙に異なる問題のため、一見すると切り分けすら難しそうである。

本連載の目的は、そのような絡み合った年金問題をシステム設計/分析の際に用いる技術を用いることで解きほぐしわかりやすく見せることを第一義とし、問題の解決は主要な話題とはしない。

なぜ、経済問題にシステム設計/分析なのかと思われるかもしれないが、システム設計/分析は元を正せばシステム工学内の一手法である。システム工学は起源からしてロケットのような大量の異なる部品から構成されるシステムをできるだけ簡潔に理解し管理するための手法として生まれたものである。経済学においてもモデル化することによって問題の理解を簡潔にしているが、複数の異なる問題が混在するシステムを簡潔かつ明瞭に理解するための手法・枠組みを持つ様には思われない。

年金制度は、複雑でまさに「複数の異なる問題が混在するシステム」である。整理せずに議論することは問題を発散させる恐れがある。システム工学的な知見を利用することで、問題を整理することは重要であろう。

本連載は以下のような手順で進める予定である。なお、予定は未定であり、予告なく変更する。

  1. 年金の目的分析
  2. 年金の業務分析
    1. ドメインの定義
    2. 業務の抽出
    3. ロールの抽出
    4. アクティビティの抽出
    5. アクティビティ図の作成
    6. ユースケース図の作成
    7. コンポーネントの抽出
    8. コラボレーション図の作成
  3. 年金問題の検討
    1. 論点の抽出
    2. 業務分析を基にした論点の整理
    3. 各論点における提案の比較検討