消費税増税によるインフレ期待の醸成について

昔(もしかしたら今も)山形浩生が消費税を段階的に上げていけばインフレ期待が醸成されてデフレから脱却できると主張していた。例えば、「クルーグマン教授の<ニッポン>経済入門」にはこのように書いてある。

景気回復策としてときどき出てくるのが、消費税を上げろ、というものだ。正確には、消費税を上げると脅せ、というもの。これを主張したのは、ぼくが最初ではないかな。消費税が3%から5%に上がる直前には、かなりの駆け込み需要があった。だったら、それをもっとやればいい。消費税を段階的に上げることで、連続的に駆け込み需要を作ればいい。人が将来、手持ちの金の価値が目減りすると思えばお金を使うようになる、というのが調整インフレ論だ。消費税が上がっても、同じお金で買えるものは減るわけだ。だったらインフレ起こすのも、消費税上げるのも似たようなものじゃないか!
(中略)
これに近い議論はその後多くの人が出すようになっている。たとえば、スティグリッツは2002年の来日インタビューで、消費税をたとえば2年ほど3%に下げて、その後5%に戻す、というのを提案していた。下げることで景気刺激効果があり、また上げる前にも駆け込み需要が期待できる。

今までは、そういうのもありかなぁ……とか思っていたのだが、本当にそうなのだろうか。消費税が上がるということは単に物の値段が上がるのと同じだから、石油ショックなどのコストプッシュインフレすなわち「スタグフレーション」と同じ状況になるのではなかろうか。

たしかに消費は促進されるかもしれないが、投資はどうだろう。インフレにより実質金利は下がるが、消費税分利潤も減ることになる。また、インフレ率が上がりすぎた場合の制御はどうやって行うのだろうか。消費税を上げても下げてもインフレ率が上がるのならば、フィードバック制御にならないではないか。

やはり、リフレ策は日銀による金融政策を中心にする以外にないように思うのだが、どうであろうか。