山田真哉「女子大生会計士の事件簿〈DX.1〉ベンチャーの王子様 (角川文庫)」を読む

さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 (光文社新書)」の著者が書いた会計監査小説。いかにもダメそうな本なので期待せずに読んだのだが、これが意外に面白い。著者自身が「ビジネス書」であると明記しているように、小説としては荒削りな部分もあるが、そのことがむしろノベルゲーム的な感覚でテンポよく読み進められる良い結果に繋がっているようだ。ネタも「会計知識を使ってみました」的なお手軽なものではなく、結構練りこまれた凝ったものになっており読み応えもある*1

そういえば、本書によると私がブードゥー会計学と呼んでいる類のものは、正式には「クリエイティブ・アカウンティング」と呼ぶらしい。まったく、ここまで皮肉な用語もないもんだ。

内容からははずれるが、本書の著者は現在29歳とのこと。甘いマスクとこの才能とあっては世間も放ってはおくまい。マスゴミに引っ張りだこになりそうな予感もするが、アホなエコノミストよりはよほどマシなことを言いそうなので、そういう意味では期待できるかも。

さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 (光文社新書)

さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 (光文社新書)

*1:実のところ、まるで逆転裁判である。萌と柿本のやりとりはまるで千尋成歩堂のよう。