WEを再度考え直す。

まず、Wiiの話ではないと断ったうえで、労働を三つに分ける。

  • 労働時間と産出量が比例するケース
  • 労働時間に応じて単位時間あたりの産出量が低下するケース
  • 労働時間と産出量に因果関係がないケース

パターンとしては、労働時間に応じて単位時間あたりの産出量が増加するケースも考えられるが、(短時間細切れの労働でもない限り)現実的ではないためここでは考えないことにする。

次に、賃金を四つに分ける。労働時間に比例した通常の賃金(以下、時間給)、産出量に比例した賃金である成果給、最低賃金やボーナスの支給固定額のような固定給、残業時間帯に応じて付加されるいわゆる割増賃金の四つである。

まず、労働時間と産出量が比例するケースを考える。この場合は、産出量は生産性×労働時間であるため、時間給でも成果給でも常に同じ賃金となる。それに対し、その他に二つのケースでは、時間に応じて産出量が増えないため成果給を支払う方が適切となる。また、いずれのケースでも、固定給、割増賃金は正当化されない。

さて、このように考えると、どんな場合でも成果給を支払うのが適切であるように思える。しかし、実際には近年増えてきたとは言え、100%成果給が実施されることはほとんどないと思われる(逆にアルバイトやパートなどは100%時間給であり成果給のアルバイトを見たことはあまりない)。

これはなぜだろうか。

ひとつには、雇用者が個々の労働者の能力を把握するのが難しいという点があげられる。実際、ひとつの製品を作るためには多くの人が関わっているし、ひとつの商品を売る場合でも営業活動だけでなく営業戦略や広告宣伝などが関わってくる。会社が組織として何かを行っている以上、業績を個々の従業員に紐付けることは難しい。これは労働量と産出量の関係に依存しない問題である。

もちろん、上記の問題が発生しない場合もある。それはいわゆる事業主に類する仕事やコンサルティングのように案件の提案から検収まで個人に任されるような場合である。その他のケース、例えば、WEの対象者となっている管理職であったとしても、その管理職の能力を適切に把握できるかは明らかではない。なぜなら、管理職はあくまでその部を管理する職種であって、自分で勝手に部の再編などを行うことはできないし、当然上司も決められるわけではないからである。組織に所属する以上、すべての決定を自由に行えるわけではない。

すなわち、給与のうち成果給が妥当である範囲は外部より個人によってもたらされた成果が明らかにできる部分であることがわかる。

(今日はほとんど進んでないっす)