飯田泰之著「歴史が教えるマネーの理論」を読む

これは掛け値なしに良い本。おそらく過去にこのような観点から書かれた「お金」の本はなかったであろう。コンパクトにまとまっているし理論の発展が順序だてて説明されているので非常に頭に入っていきやすい。グレシャムの法則が誤用されているという指摘もなるほどという感じ。

たしかに誰をターゲットにしてるのかよくわからない本だけど、この内容だったら新書にして「『ダメ議論』の著者が放つ、お金の歴史学!」とか何とか帯につければそこそこ売れていたんじゃないかと思わんでもない(おそらく買った人が期待した内容とはかなり違うだろうが)。

ただ、ひとつ気になったのはp38に出てくるビクトリア均衡の話の続きがどこにあるのかわかりにくいというところだろうか。きちんと読むと「経済が成長するときは物価下落圧力がかかる」と書いてあるのだが、直接的な言及がないので「いつになったらビクトリア均衡の話題が出てくるのだろう」とか思ってしまった(最後まで読んだ後に読み返して気づいた)。

個人的には非常におすすめ。

歴史が教えるマネーの理論

歴史が教えるマネーの理論