現代の経済学において景気対策の主軸が金融政策が主流である証拠

今ちまたで話題のフリードマン本を読んでいたら、まさに現代の経済学において主たる景気対策が財政政策ではなく金融政策であることを示す一節があったので紹介したい。

とくに断り書きはないが、(ポール・サミュエルソンの)『経済学』の金融・財政政策論は、版を重ねるにつれ、フリードマンの主張に大きく近づいていく。経済史研究者マーク・スコーセンの指摘をみよう。一九五五年版の『経済学』では、「今日、連邦準備理事会(FRB)の金融政策が、景気循環を管理する万能薬だと考える経済学者は少ない」と書かれている。一九七三年版になると、「財政政策と金融政策の双方が非常に重要だ」となり、一九九五年版では「財政政策は、アメリカの安定化政策の主要な手段ではない。予見できる将来、安定化政策はFRBの金融政策が担当することとなる」と説明している。

もし、今現在も財政政策が景気対策の中心だと記憶しているのであれば、あなたの知識は古いことを認識しなければならない。また、現在ではニューディール政策や世界大戦による拡張的な財政政策が大恐慌脱却の要因とは考えられていないことも記憶しておくべきだろう。

最強の経済学者 ミルトン・フリードマン

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