インフレと物価

思うのだが、インフレに関する巷の言説を聞くに、やっぱりこれも言葉の問題なのかな、と思うようになった。物価と聞くと、やはり「物の価格」を思い浮かべるわけで、昨今の原油や一次産品の値上がりを意識せざるを得ない。

システム開発において目的は非常に重要なのであるが、それは顧客からの個々の要望に基づき作成したプログラムが必ずしも顧客の必要としているものにならないからだ。

インフレと物価指数の関係も似たようなところがある。

物価の管理がなぜ経産省ではなく通貨を管理する日銀で行われているか、ということを考えればわかるように、国が物価統計を取る目的はインフレ率、すなわち通貨の価値を管理したいからであって、物価そのものを管理したいからというわけではないのである。

昨今、価格変動が激しい石油や一次産品の価格高騰により消費者物価指数はプラス基調である(それでも正常な水準である2%〜4%にまったく届かないのであるが……)。だからといって、現在がインフレであると考えるのは早計である。重要なのは目的であって統計の数値そのものではない。統計の数値には指標特有の癖があり、本当に目的に適っているか確認することが必要だ。

前述の通り物価指数を計算する目的は通貨価値を管理することにあるのだから、石油の値上がりの効果は除かれる方が良いし、特に一次産品の値上がりは代替効果の考慮がないためバイアスが出やすく積極的に除くべきである。だからこそ、今の状況ではCPIよりもコアCPIやコアコアCPIを見るほうが好ましいし、より包括的な指数であるGDPデフレーターを見る方がよいのだ。