ユーザー企業の横暴は取り締まられるべきか

最近、ヤマダ電機の一件があり、メーカー企業にとってのお客様企業の横暴について考えているのだがよくわからない。私のいるSI屋業界はひどい業界だと最近認知されつつあるが、所属している会社自体が横暴なことはめったになく、どちらかと言えば身勝手なお客の要求が過剰な残業を引き起こしたり劣悪な労働環境が発生したりすることが多い(派遣系の場合は所属する会社自体も横暴なことが多いが)ので、このヤマダ電機の一件は決して他人ごとではない。

しかしながら、ヤマダ電機の場合は、メーカー企業が自社の商品を売るために追加のサービスを提供していただけと考えれば正常に市場原理が働いているわけだし、SI業界でもそれによって相対的にサービスの価格が下がっているわけだから同様とも考えられる。しかも、最終的な消費者にはまったく迷惑がかかっていない。

すなわち、市場の力を信じるならばユーザー企業は市場を効率化させるためにもっとわがままになるべきなのだ、ということになる。このように考えた場合、市場の働きを規制により阻害した公正取引委員会の行動は不適切ということになる。

とはいえ、ユーザー企業の横暴により身をすり減らしたり、家庭を崩壊させたり、健康を害したりして業界を去っていく人々を見るに、これは到底健全なこととは思えない、という個人的感情もある。

さて、公正取引委員会はこのようなユーザー企業の横暴を取り締まるべきなのだろうか。取り締まるとしたらどのような経済学的説明をつけるべきだろうか。