マクロ経済学者は医者に似ていなければならない

マクロ経済学と政策的含意について考えるにあたって、実務家にありがちな大きな誤解を正しておく必要がある。しばしば、「経済学とは予測の学問であり、予測ができないなら意味がない」という意見を聞くことがあるが、これはまったく的外れである。マクロ経済学が政策含意を導くものであると考える以上、マクロ経済学者は気象予報士よりも医者に似てなければならない。読者は自分の主治医に対して、「私は来週、風邪をひくでしょうか」と尋ねるだろうか。少なくとも筆者は訊こうと思ったことはない。

現代マクロ経済学講義―動学的一般均衡モデル入門

基本的には同意できる。追記するならば、対処療法だけでなく予防医学が重要であることも含め医者に似ているべきであろう。同書に掲載されている日銀の失敗を教訓にしたFRBの対応を考えれば、予防医学が対処療法以上に重要な局面もあるのだから。