国連が日本に死刑廃止を勧告したらしい

日本の人権状況を審査してきた国連の自由権規約委員会は30日、死刑制度の廃止を前向きに検討するよう日本政府に勧告した最終意見書を公表した。(中略)同意見書は、日本での死刑の執行件数が近年、増加したことに懸念を表明。執行当日まで事前の告知がないことや、高齢者に実施されたことなども問題視し、「日本は死刑廃止を前向きに検討すべきだ」と勧告した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081031-00000016-jij-int

私は死刑制度は存続してもいいんじゃないかと考えているが、この問題に対する日本人の強固な反対意見を見ると、アメリカで銃規制ができない理由もわかる気がする。結局、制度というのは国民の平均的な意識の元に形成されている以上、日本国民が死刑制度の廃止を当然と考えるようにならない限り実現は困難なのだ。

ちなみに死刑制度肯定派はしばしば「死刑制度は犯罪を抑止する」という主張するが、実証上そのような効果はほぼないに等しく、根拠になるほどの効果は見込まれないようである。最近の傾向を見ていると、自殺代わり凶悪犯罪を犯す者もいるから、その効果はさらに減っているかもしれない。では、死刑が人道上問題があるから廃止せよという主張は、人道も同様に国民の平均的意識の産物である以上、国民がそれを是とみなすなら是とみなすべきであり、さらに根拠薄弱である。

はっきり言ってしまえば凶悪犯罪者という存在はいつの時代も少なからず存在する。しかし、社会全体から見ればレアケースもレアケースであり、不景気や環境悪化に伴う軽犯罪の増加の方がはるかに重要である。死刑を廃止しようが、廃止しまいがどうでも良いのだから、国連の勧告に素直に従って廃止するのもよかろう。

なお、私が死刑制度を存続しても良いのではと考えているのは、死刑というイベントによって事件が「終わる」ことで国民および被害者が溜飲を下げることができると考えているからである。すなわち、死刑制度は魂の浄化装置として働きうるのである。しかし、私自身このような考えを裏付ける実証を持っているわけではないし、しょせん気分以上の話ではないので、これによって死刑制度の是非を判断すべきなどというつもりは毛頭ない。