金融業界高賃金の謎

最新の一世紀にわたるデータにより、金融セクターの相対的な賃金の変化をもたらしている主な要因は、金融のイノベーションに続く規制およびコーポレートファイナンス活動によるものだという示唆を得た。過去10年間で「レント*1」はこのセクターの賃金の差分の30から50%にも上る。その意味で、金融マンは給料をもらいすぎている。

金融業界って給料もらいすぎじゃね?という話 - I 慣性という名の惰性 I

最近、この仮説を裏付ける論文“Are bankers paid too much?” (by Thomas Philippon)が発表された(紹介記事がNYTやThe Economistにある)。それによると、金融業の報酬は規制の強弱と関係しており、規制が緩い20年代と80年代以降は高く、厳しい30-70年代は低かった。近年の金融業の高報酬は、規制が過度に緩和されたことによる超過利潤だったという。

欧米金融業界の高報酬は“スーパーバブル”だったのか? 2009年03月04日 | 大和総研グループ | 高橋 正明

以前書いたエントリのコメントでも話題に上っていたが、実証的にもやはりパフォーマンスに比べ高賃金であったようだ。市場原理主義的思考で考えると、高賃金は金融業界人の高生産性を反映していると考えることもできるが、上記サイトで紹介されているように実際にはそうではない。結局のところ、金融業界はバブルを加速し、自己実現的に作り上げた高賃金を得ていただけということか。その挙句、バブル崩壊させその他の市場も巻き込んで自滅とはひどい話だ。

しかし、この話題から得られる教訓もある。それは、バブル自身の発生を食い止めることはできないが、規制を強化することでバブルの加速を食い止めることができるかもしれないということである。