吉田伸夫著「光の場、電子の海―量子場理論への道 (新潮選書)」を読む
世の中には、不確定性原理やシュレディンガーの猫といった話題を取り上げて、量子力学の不思議さを吹聴する書物が少なくないが、量子場の理論を学ぶと、そうした軽薄な騒ぎに巻き込まれることが恥ずかしくなるだろう。
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
いや、本当にこの本読むまで、量子論を勘違いしてました。不確定性原理やシュレディンガーの猫の話が出てきたら、もやは眉に唾を付けて読んだ方がいいという気になってきた。
もちろん、量子場の理論そのものをきちんと理解できたわけじゃないけど、少なくとも、量子力学を不確定性原理やシュレディンガーの猫で語ることの滑稽さは理解できた。現代の物理学においては、すべては「場」である。場である以上、粒子的な「位置xに存在する確率」などという解釈そのものが意味がない。それは、「位置xにおける場」に過ぎない。すなわち、不確定性原理などという概念自体が不要ということになる。
我々が粒子のように思っていたものは、場が制約によりそのように振舞っていただけの話だし、不確定性原理のように見えていたものは、電子が場の振動状態であることを理解できていなかったからというだけのことだ。
そういえば、ディラックの海もすでに否定されているとは思わなかった。結局、ディラックの海も粒子的な概念に捕らわれていたが故の誤解だったわけね。そして、すべては場であるが故に真空という概念すらも意味がない。
SF的には残念極まりないが、まぁ、もはやSF自体が残念極まりないので別にいいよね(いいのか?)
しっかし、こういう知識は数年に一度更新しなきゃなりませんな。
- 作者: 吉田伸夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/10/01
- メディア: 単行本
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