飯田泰之著「経済は損得で理解しろ!」を読む
飯田先生の本なので安心して読める。入門書にも関わらず、外部性に関する理解の怪しいところが補間できたりと新たな発見を得られるところはさすがである。
まぁ、かなり高い事前期待を持っていたので、それは下回ってしまったなぁ、というのが正直なところ。ベターではあると思うけどベストとは言い難い。世間の書評を読む限り、高評価の人が多いので、そう感じるのは私だけかもしれないけれど。
例えば、「クルーグマン教授の経済入門」と比べわかりやすいのか、と言われると、私はクルーグマン本に軍配を挙げると思う。たしかに本書はクルーグマン本に比べ、漏れなく様々なトピックを盛り込んでおり隙がない。その一方で、あまりにも多くのトピックを詰め込みすぎて、全体として平板な印象を与えているようにも思う。もし、若いときにこの本に出会ったとして、1年後にこの本の内容を覚えていられるかどうか自信がない。
野口旭先生も過去に「誰にも聞けなかったニュースの経済」という入門書を書かれていたが、こちらにも似たような印象を持った。記憶に残るという意味でも「経済学を知らないエコノミストたち」の方が遥かにインパクトがあり、わかりやすく感じたのである。
毒とも言えるようなインパクトを入門書に求めるのは酷かもしれないが、強いメッセージなしに人は物事を記憶し続けていられないのも事実である。もっと、印象に残す工夫が必要なのではないだろうか。
というわけで次回作に期待を託すわけではありますが……ぜひ次は同書のマンガ化をお願いしたい。しかもマンガ化する以上は、ベアとブルのような子供だましではなく、石ノ森章太郎先生の「マンガ日本経済入門」を超える作品を目指すべきではないでしょうか。ぜひとも、石ノ森先生の意志を継ぎ
の実現を期待して止みません。
……駄目かなぁ。大ゴマで「リフレしろ!」と書いてもらえば、みんな納得しそうだし。むしろ、日銀総裁が「逆境だぁ」とか言い始めたりして。
世界一シンプルな経済入門 経済は損得で理解しろ! 日頃の疑問からデフレまで
- 作者: 飯田泰之
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2010/03/12
- メディア: 単行本
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