財政政策の効果に関する論文のアブストラクトだけ訳してみた

矢野先生が、「大不況(the Great Recession)とDSGEモデル」というエントリを書いておられる。ゼロ金利下だと高い財政乗数が得られるという話に多少興味があったので、アブストラクトだけ訳してみた(書くまでもなく私は英語が苦手なので品質は保証しない)。

でも、これだけじゃ、よくわからんね。うーむ、やっぱり本文読まなきゃ駄目か。

政府支出乗数が大きくなるのはどんな時か?

名目金利が一定になるときです。

どんな財政政策がゼロ金利下で有効なのか?

ニューケインジアンビジネスサイクルモデルによれば、短期名目金利がゼロとなっている場合 減税は不況を深刻化させる。収縮的な減税の例としては、所得税の縮小が挙げられる。この減税はデフレ圧力を増加させるため不況を深刻化させる。別の例として資産課税を挙げる。この減税ではもっと支出が必要とされるその時に支出させず貯蓄させるよう仕向けることで不況を深刻化させる。財政政策はよりよく働かせるために総需要を刺激することをまさに目的としている。1) 政府支出の一時的な増加、2) 減税、を含むそれらの政策は、投資税額控除や売上税減税のような総供給を刺激するよりもむしろ、総需要を刺激することがまさに目的なのである。この結果は、現在の世界の大部分で観測されるように金利がゼロに近づく場合に特有の現象である。

おまけ(Abstractの下にあった表だけ転載)

所得税乗数 政府支出乗数
プラス金利 0.096 0.32
ゼロ金利 -0.81 2.27

構造モデルにおける財政政策の効果

一時的な財政刺激は総需要を効果的に刺激するかと言う疑問は、将来の政策決定を大きく左右する激しい論争の主題となっている。実証的な研究では、いくつの助言が用意されている。しかしながら、それらの推定には分散が大きく、また、金融政策と財政政策の相互作用、異なる財政手段の区別、自動安定化機構と裁量的な刺激の区別といった識別キー問題の難しさがある。構造モデルはそれらの問題に取り組むことを可能にし、価値のある追加の識別情報を提供することができる。それらの主要な弱点は構造的な機能やキャリブレーションについての完全が合意がないということである。この問題の重要性を評価するために、この論文では7つの異なる構造モデルを取り扱う。それらのモデルはすべて、政策決定機関によって非常によく利用されているものである。また、財政刺激のショックとしては7つの異なる財政手段を用いる。最も重要な結果は、財政乗数の異なる種類の絶対的、相対的な大きさに関わらず無視できないモデル間の一致があることである。三つの結論が浮き出てくる。第一に、多くの乗数は、特に支出とターゲットとなる転移において大きい。第二に、財政政策はある程度持続的でかつ金融政策と共に行われるとき最も効果的である。第三に、恒久的な財政刺激は有意に初期乗数が低くなり長期に渡って産出を押し下げる。