日本の『復活の日』

本サイトでは、長い間「インフレ目標2%」といったリフレ政策を通じての景気回復策を主張してきた。「良い円高・良いデフレ」を信仰する速水優総裁時代、「インフレ目標は魔法の杖ではない」と導入を否定しゼロ金利を解除した福井俊彦総裁時代、「デフレは金融政策が原因ではない」と在任時一貫してデフレを維持し円高を放置した白川方明総裁時代。とても不幸な時代が続いたが、それも昨日で終わった。

黒田東彦氏は財務省出身でありながら、古くからのリフレ政策の主張者であるし、岩田規久男氏は、日本における金融政策の問題をいち早く指摘し、一貫して金融緩和を主張し続けていたリフレ政策の第一人者である。インフレ目標政策を主張するバーナンキFRB議長となり、名目GDP目標の導入を主張するカーニーがイングランド銀行総裁になるご時世を考えれば、遅すぎると言えるかもしれない。ただひとり、経歴を考えれば戦犯と言うべき中曽宏氏が入っているのは気がかりだが、当面はおとなしくしているだろう。

日本がかつての輝きを取り戻せるかはわからない。だが、停滞からの脱却は確実に起こりそうである。しばしば、お金を増やしただけで成長するはずがない、といった批判を目にするが、実体は逆なのではないか。たかが「金融政策に好意的な政権が樹立する」と期待されるだけで大幅な株高が続き、一方で低金利が続く。ということは、日本のデフレに親和的な金融政策は、日本の成長にとってボトルネックになっていたのだろう。酸素の薄い部屋で体を鍛えろと言われているが如し。酸素濃度が高すぎれば酸素中毒になる、からと言って、酸素が少なすぎれば呼吸困難に陥ってしまう。

今回、合わせて日銀法が改正されないことは大変残念であるが、現在の強い独立性に守られた立場は、やる気のある執行部にとってはむしろ望ましいかもしれない。とはいえ、今だに強く残る知的階層のデフレ志向を考えると、5年後に逆戻りすることないよう、制度としてのインフレ目標(あるいは名目GDP目標)を確立することが重要だと考える。黒田総裁反対に廻った点を残念に思うものの、みんなの党などには引き続き頑張って頂きたい。

おそらく後世の歴史には、昨日が日本経済の転換点として記憶されるだろう(それとも、高橋是清がそうであったように、歪んだ姿で記憶されるであろうか)。

細かい心配ごとはあるけれども、めでたい出来事は素直によろこぶべきであろう。天国の銅鑼さんに乾杯!