残業抑制のために割増率を上げるべきではない

大竹先生のところで「割増率の上昇は残業時間を減らすか?」というエッセイが掲載されている。

以前、この日記にて割増賃金を肯定的に書いたことがあるのだが、今は考えを改めている。割増率を上げることで企業側に残業を抑制するインセンティブが働くことは間違いないが、エッセイの中で言及されるように基本給や賞与の減少でカバーされてしまうかもしれない(企業では通常、総人件費を設定し、その中で分配する仕組みをとっているため、これは十分起こりえる)。

なにより、従業員の側には残業するインセンティブが発生してしまう。実際にはそんなに働きたくないという人が多かろうが、割増率の増加が自分自身の残業を正当化してしまうかもしれない。

やはり、残業時間抑制には、フランスなどで行われているように上限の設定と、労使双方への罰金によって対応するのが良いのではないかと考える。