バーナンキの背理法おかわり

藤沢某のエントリを読み、そこに付けられたはてなブックマークコメントも読んだのだが、もはや絶望感しかない。実際には、デフレ下で潜在成長率を上げれば失業率は上がり、デフレが深化する。

とはいえ、そんな経済理論が世間的にはわかりやすくて真実らしいので、この経済状況は世論の後押しによって形成されているという意味で民主主義的に正しいのかもね。

それにしても不思議なのは、あいも変わらずバーナンキ背理法を批判する人が後を絶たないことだ。バーナンキ背理法は何のことはない、ノーフリーランチの原則を単に貨幣に対して適用しただけのものである。

あまりにも単純なので疑わしいという言う研究者もいるが、なぜノーフリーランチの原則は疑わないのだろうか。もしかすると、均衡動学経路が存在しないかもしれないのに(www

たしかにバーナンキ背理法は、いつインフレになるか、インフレに害があるか、インフレはコントロールできるか、などそれ自体がリフレ政策の有効性を証明するわけではない(元々、「日銀はデフレを脱却する手段を持たない」などというとぼけた議論への皮肉みたいなもんだし)。また、ノーフリーランチも一時的であれば成立しない状況が存在するように、バーナンキ背理法も一時的であれば成立しないことはあり得る。

しかしながら、それはバーナンキ背理法を否定してよい理由にはならない。そして、バーナンキ背理法を否定するということは、「私は論理的に判断しません」ということを暗に主張していることに他ならない。

私はバーナンキ背理法を否定する論者はトンデモ扱いしてよいと思うのだが、日本の経済学者の中にもそう主張する人がおり非常に残念に思う。